面接で「親の年収」を聞かれたらどうする?

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就職活動中の面接で「家庭環境」や「親の年収」を聞かれた場合、多くの就活生にとっては答えにくい質問でしょう。プライベートな話題をどこまで伝えるべきか判断に迷う上、「そもそもそんなこと聞いてもいいの?」と不安になる方も少なくありません。

本記事では、就活で「親の年収」や家族構成などを聞かれた場合の対処法や、違法性の有無について解説します。

1. 「親の年収」を聞かれるシーンはどのように発生するのか

1-1. 家庭環境をヒアリングする企業の意図

一般的には、面接の際に「家族構成」や「親の職業」を聞く企業は少なくありません。これは、あくまでも「雑談レベル」「面接官とのコミュニケーションの一環」として質問している場合があります。
一方、「親の年収」や「親がどのような会社で働いているか」を直接聞いてくる企業も稀に存在し、中には経済状況を確認したい、または応募者のバックグラウンドを把握したい意図がある場合もあります。

1-2. 公正採用選考のガイドラインとの関係

厚生労働省が示す「公正な採用選考の基本」では、採用選考において求職者の業務能力・適性に直接関係しない事項(家族構成、家庭の経済状況など)を質問することは推奨されていません
面接でこうした内容を深掘りすることは、採用基準として不適切と見なされる可能性が高いです。したがって、「どうしても必要な理由がなければ聞くべきではない」とされています。

2. 「親の年収」を聞くことは違法なのか

2-1. 違法かどうか

就職活動の面接で「親の年収」を聞くこと自体が直ちに違法になるわけではありません。しかし、「公正採用選考のガイドライン」に反すると判断されるケースもあり、企業のリスクは高まります。
もし「親の年収」を理由に採用・不採用を判断したり、合否に不当な影響を与えたりした場合、差別不当な採用選考だとみなされる可能性があるため、企業にとってリスクが伴う質問といえます。

2-2. プライバシー保護との兼ね合い

日本国内では、個人情報の取り扱いについて「個人情報保護法」が存在しますが、こちらは企業が管理する“個人情報”の範囲を定めた法律です。親の年収はあなた自身の個人情報とは別枠と考えられることもあり、直接的な違法性を問うのは難しいのが実情です。
しかしながら「プライベートに関わる情報をしつこく聞く」「回答を強要する」など、就活生の人格権を踏みにじるような行為がある場合は、ハラスメントとして問題視される可能性があります。

3. 「親の年収」を聞かれたときの対処法

3-1. 質問意図を確認する

「親の年収を教えてもらっていいですか?」と聞かれたら、まずは質問の意図を確認するのがおすすめです。

  • 「何の目的でお尋ねでしょうか?」
  • 「その情報は採用判断のどのような点に関連するのでしょうか?」

こうした質問を返すことで、面接官も「プライバシーを侵害する内容かも」と気づき、話を切り上げる場合があります。

3-2. 答えたくなければやんわり断る

どうしても答えたくない場合は、やんわりと断るのも一つの方法です。

  • 「申し訳ありませんが、個人情報に関わるため控えさせていただきたいです」
  • 「その点につきましては詳しく存じておりません」
  • 「家庭の経済状況は正確に把握していないので、お答えしかねます」

しっかりとした口調で答えを回避すれば、角が立つこともある程度防げます。

3-3. 軽く話せる範囲にとどめる

ただし、相手の雰囲気や会社の風土を見極めた上で、雑談として受け答えをする選択肢もあります。たとえば「親の収入」という直接的な数字を話す必要はなく、次のように抽象的に応じることもできるでしょう。

  • 「特に不自由なく生活しておりました」
  • 「家族と普通に暮らせる程度には十分でした」

自ら具体的な金額を言う必要はまったくありません。

4. 「親の年収」を聞かれる企業の見極め方

4-1. 公正な採用姿勢を感じられるか

家族構成や親の年収など、応募者の適性に直結しない内容をしつこく聞く企業は、採用方針が曖昧だったり、公正採用選考の意識が低い場合が多いです。
面接で「違和感がある質問」を頻繁に受けるなら、その会社が本当に自分に合っているのか、改めて考えることも大切です。

4-2. 社風・面接スタイルに違和感がないか

たまたま雑談の延長で「親の仕事」を聞かれる程度であれば、大きな問題にはならない場合もあります。しかし、やたらと「親の年収」「家庭の借金」など、踏み込みすぎる質問を繰り返されるとハラスメントを感じる要素にもなりえます。
「面接官が高圧的」「不安を煽るような質問が多い」などの傾向が見られるようであれば、入社後の環境面についても慎重に考えるべきかもしれません。

5. まとめ

  • 「親の年収」を聞く行為自体がただちに違法になるわけではないが、公正採用選考のガイドラインから外れた質問として問題視される可能性は高い。
  • プライベートな情報を聞かれたら、まずは質問の意図を確認する。答える必要を感じなければ、やんわりと断ることも可能。
  • 企業側があまりにも不当な質問を繰り返す場合は、その企業の採用方針や社風に疑問を持った方が良い

就活は、自分と企業の相性を見極める大切なプロセスです。面接は「応募者が企業に選ばれる場」であると同時に、「応募者が企業を選ぶ場」でもあります。プライバシーへの配慮が感じられない企業と感じたら、入社後の人間関係や待遇面でもトラブルが起きやすいかもしれないと考えるのも大切です。

企業に不当な質問をされたり、不安を感じたりした場合は、大学のキャリアセンターや就活エージェントに相談するなど、サポートを受けられる環境をぜひ活用してみてください。あなたの就職活動が納得のいくものになることを応援しています。

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