【書評】世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド

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本記事では、文系・未経験でIT業界への就職を目指すみなさんが「自分らしいキャリア」を考えるうえで役立つ一冊として、八木仁平さんの『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』(KADOKAWA、2020年5月28日刊)をご紹介します。本書は、自己理解を深め、「自分が本当にやりたいこと」を見つけるための具体的なステップやフレームワークがわかりやすくまとめられた一冊です。

文系・未経験からIT業界を目指す人にとっても、「自分の好き」「得意」「価値観」を整理し、自分のキャリアにどのように活かしていくかを考えるのは重要なプロセスです。本記事では、本書の概要・特徴、おすすめポイント、そしてIT業界を目指す上での活かし方を計4つずつに分けてご紹介します。最終的に「自分は本当は何をやりたいのか」を深く理解し、就職活動やキャリア選択における大きなヒントを得ていただければ幸いです。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

  • 書名:『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』

1.2 著者・出版社

  • 著者:八木 仁平(やぎ じんぺい)
  • 出版社:KADOKAWA
  • 出版日:2020年5月28日

著者の八木仁平さんは、「自己理解コンサルタント」としてSNSやオンラインコミュニティを中心に活躍されており、自己理解やキャリアに関する情報発信を精力的に行っています。独自に開発した「自己理解メソッド」を使って、多くの方が抱える「自分は何がしたいのか分からない」「モヤモヤした気持ちを抱えたまま生きている」といった悩みにアプローチし、自己理解を深めるサポートを行っています。

1.3 本書が取り扱う主な内容

本書では、「やりたいこと」は「好き」「得意」「大事にしたいこと(価値観)」の3つの要素の掛け合わせによって見つかる、と提案しています。そのため、次のような流れで「やりたいこと」を明確にしていく方法が紹介されています。

  1. 好き:自分の興味・関心を洗い出し、「わくわくすること」や「つい調べたくなること」を言語化する
  2. 得意:自分が自然にできること、得意だと感じること、周りから「あなたに頼みたい」と言われやすいことを整理する
  3. 価値観:自分が何を重要視し、どんな考え方や行動指針を持っているのかを知る

これらを踏まえて「やりたいこと」を定義するためのワークシートや、自分を深掘りするための質問例が数多く掲載されており、手を動かしながら読み進めることで、「自分が本当にやりたいこと」の輪郭が見えやすくなる作りになっています。

1.4 本書の特徴

  1. 具体的なフレームワーク
    「自己理解メソッド」が段階的に整理されているため、読者はステップに沿って進めるだけで、自分を客観視しやすくなります。「好き」「得意」「価値観」を個別に洗い出すプロセスはシンプルかつ的確で、どこから手をつければいいのか分からない人でも入りやすい構成です。
  2. 豊富な事例やワークシート
    実際の事例や、すぐに取り組めるワークシートが用意されているため、本を読みながら手を動かすことで理解が深まります。「頭では分かっているけど手を動かさずに終わってしまう」という自己啓発書の課題を、実践的な演習を通じてクリアしやすい点が魅力です。
  3. 読みやすい文章と親しみやすいデザイン
    著者の語り口は平易でわかりやすく、イラストや図解も多用されているので、難しく感じやすい「自己理解」の話がスッと頭に入りやすくなっています。モヤモヤしている時、複雑な理論よりもまずは身近な実践例から入っていきたい方にとって、手に取りやすい一冊です。
  4. 自己理解を「他人のため」や「社会のため」にも拡張して考えられる
    「やりたいこと=自分のためだけ」というイメージに縛られがちですが、本書では「得意なことを活かして社会や他者にどう貢献したいのか」という観点も提案されています。これは就職活動やキャリア選択においても非常に大切な考え方であり、「自己理解」から一歩進んだ視点をもてるようになります。

2. おすすめポイント

ここからは、本書の魅力をさらに深掘りした「おすすめポイント」を4つご紹介します。

2.1 「なぜやりたいことが見つからないのか」が具体的にわかる

自己理解の大切さを説く本は多いですが、「結局なぜやりたいことが見つからないのか?」を具体的な根拠や事例を交えて説明している点が本書の大きな特長です。「好き」「得意」「価値観」が曖昧だと、自分が動くべき方向を定められないまま迷走しがちになる、というメカニズムが解説されており、その理由を言語化することで「まず何に取り組めばよいのか」が明確になります。

2.2 「なぜやりたいことが見つからないのか」が具体的にわかる

文系・未経験でIT業界に興味を抱いている方の中には、「プログラミングをやってみたいけど、本当に好きかどうかわからない」「そもそも技術的な勉強は得意なのか不安」といったモヤモヤを抱えている人も多いはずです。本書で紹介される「わくわく」チェックの方法を使えば、仕事の種になりうる興味分野を幅広く見つけるきっかけになるでしょう。

2.3 ワークシート・具体例を使って自分を「形式知化」できる

「頭の中では何かが引っかかっているんだけど、言葉にできない」というもどかしさを解消するため、本書ではワークシートや質問を通して自分を客観視し、言葉に落とし込むプロセスがとても充実しています。単なる自己分析ではなく、数値化や対比などの手法を使い「形式知化」することで、自分でも意外だった一面や思い込みなどに気づく機会が増えます。

2.4 「他人の期待」との向き合い方のヒントも得られる

就職活動では、周りから「こういう道に進んだ方がいいんじゃないか?」といった期待やプレッシャーを受けることもしばしば。しかし本書では、「他人の声」と「自分のやりたいこと」を両立させるにはどうすればいいのか、という視点で解説しています。自分が実現したい理想や価値観を守りつつ、他者からのサポートをうまく活かす工夫が提案されており、特に就活時には大きな支えとなるでしょう。

3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

続いて、文系・未経験からIT業界を目指す方が、本書の内容を具体的にどのように活かすかについて、4つのポイントに分けてご紹介します。

3.1 IT業界への興味を「好き」の延長線上で捉える

文系出身だと「ITは自分に関係ない分野なのでは」「理系の人が向いている領域なのでは」と感じてしまいがちです。しかし、本書の「好き」を明らかにするプロセスを通じて、「なぜITに興味があるのか」「何が楽しいと感じるのか」を整理すれば、意外と自分の興味・関心と親和性があることに気づくかもしれません。SNSやブログ、動画編集、デザインツールに触れることが好きなら、それは立派なITの入り口です。「好き」という気持ちを活用することでモチベーションを高め、学習意欲を維持しやすくなるでしょう。

3.2「得意」を発見して学習計画に反映させる

文系出身でも、コミュニケーション能力、情報整理や文章作成力など、「得意」だと感じるスキルはさまざまです。本書を参考に、自分の得意分野を洗い出してみましょう。その結果を学習計画や職種選択に反映させることで、自分の強みを活かせる方向性が見えてきます。たとえば「人と関わるのが得意」なのであれば、ITコンサルタントやシステム営業、プリセールスエンジニアなどが候補になるかもしれません。あるいは「地道な作業が苦にならない」のであれば、テスターや運用保守といったポジションでも力を発揮できるでしょう。

3.3 「価値観」を基準に企業選びを行う

就職活動では「企業規模」や「有名企業かどうか」に目が向きがちですが、長く働く上では「自分の価値観」と合うかどうかも大切な要素です。本書のメソッドで自分の価値観を洗い出すと、「働く中で大切にしたいこと」「逆にこれは譲れないこと」が明確になります。たとえば「新しいことに挑戦できる環境を重視したい」「ワークライフバランスを大切にしたい」といった価値観が見えてくれば、企業選びの判断材料が増え、後悔のないキャリア選択につながるでしょう。

3.4 「何を実現したいか」を軸にした自己PRや志望動機作成に役立つ

就職活動の中で一番重要とも言われる自己PRや志望動機。文系・未経験でIT業界を受ける際は、どうしても「技術力がないから自信がない」と感じるかもしれません。しかし、本書のステップで「自分は何を実現したいのか」「どんな価値観に基づいて行動しているのか」を言語化できれば、十分に説得力のある志望動機が組み立てられます。「ITを使って人の生活を豊かにしたい」「チームで何かを成し遂げる過程が楽しい」など、自分の思いを軸に話せると、面接官に「この人は本当にやりたいことが明確だ」と感じてもらえる可能性が高まるでしょう。

4. まとめ

八木仁平さんの『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』は、「好き」「得意」「価値観」という3つのキーワードから、自分の根源的な欲求やモチベーションを整理していく本です。文系・未経験からIT業界を目指す方にとっても、本書を通じて自己理解を深めることで、「なぜ自分はIT業界に興味を持ったのか」「IT業界でどんな価値を発揮したいのか」といった問いがよりクリアになるでしょう。

就職活動においては、企業研究やエントリーシート、面接の内容など、やるべきことが山のようにあります。しかし「自分がどんな人間で、どんな働き方を望むのか」が明確になっていると、それらの作業が一貫性のあるストーリーとしてつながり、説得力も増していきます。さらに自分自身も納得感を持ちながら活動を進められるため、迷走や挫折を減らせるはずです。

ぜひ、本書で紹介されているワークシートや自己分析の質問にじっくり取り組んでみてください。「自分が本当にやりたいことは何だろう?」と考え続けるプロセスは決して無駄になりません。たとえ最初は見えづらくても、少しずつ「ここなら自分の強みを活かせそう」「これは自分のやりたい方向性ではないかも」と判断できるようになります。

文系・未経験でもIT業界に飛び込むチャンスはいくらでもあります。大切なのは「自分を理解すること」と「本当にやりたいことを知ること」。この二つを味方につけることで、皆さんのIT就活はきっと大きく前進するでしょう。自己理解のヒントと具体的な手法を得たい方は、ぜひ一度本書を手に取ってみてください。自分の「好き」「得意」「価値観」を発見する冒険が、IT業界での新しいキャリアへの扉を開く大きなきっかけになるはずです。

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