本記事は、文系・未経験でIT業界への就職を目指す方々に役立つ視点を意識しつつ、森田市郎著『一生ブレない自分軸の身につけ方〜やりたいこと、才能、目標を見つける!〜』の書評をまとめたものです。
本書を就職活動やキャリア形成にどう活かせるのかを具体的に紹介していきます。
1. 書籍の概要
1.1 タイトル
『一生ブレない自分軸の身につけ方〜やりたいこと、才能、目標を見つける!〜』
1.2 著者・出版社
- 著者:森田市郎
長年にわたって人材育成やキャリア支援などに携わってきた実績を持ち、個人や企業へのコーチングや研修を手がけています。自身もキャリアの転機を何度か経験し、そのたびに「自分軸」の必要性を痛感したといいます。そうしたリアルな体験を元に、誰でも実践できるようなメソッドを紹介する活動を行っています。 - 出版社:鴨ブックス
ビジネス書から自己啓発書まで幅広い分野の出版を手がけています。著名ブロガーやビジネス系YouTuberなどの書籍も取り扱い、時代に合った分かりやすい編集方針で知られています。
1.3 本書が取り扱う主な内容
本書では、「自分軸」とは何か、そしてそれをどのように確立していくかが大きなテーマとなっています。具体的には、以下のような内容がカバーされています。
- 自分軸の定義
「他人や社会の価値観ではなく、自分自身の価値観や信念を基準に判断・行動できるようになること」が自分軸だと定義しています。本書では、まずは“自分を知る”ための方法論や、自分の行動がどのように他人の価値観に振り回されているかを客観的に見つめるヒントが紹介されています。 - やりたいこと・才能の見つけ方
自分軸を形成するうえで重要なのが、自分の「やりたいこと」や「得意なこと」を正しく理解することだと本書は主張します。そこで、本当にやりたいことを見つけるための自己分析や、あなたならではの才能・強みを発見するワークが提示されています。 - 目標設定と行動計画の立て方
やりたいことや才能が分かった後に、「自分軸に基づいて目標を定め、それをブレずに進めるためにはどうしたらいいか?」というノウハウが詰まっています。多忙な社会人や就活生が陥りがちな「計画倒れ」を防ぐ工夫など、実用的なアドバイスが豊富です。 - 周囲との関係をどう築くか
自分軸を大切にしつつ、チームや組織の中で協調していく方法についてもページが割かれています。「自分の意思を貫くと周りの人とぶつかってしまうのでは?」という不安に応える形で、コミュニケーション術や合意形成の手順が分かりやすく解説されています。
1.4 本書の特徴
- 著者自身の体験談の豊富さ
キャリアチェンジの過程で得た気づきや、コーチングでの成功・失敗事例がふんだんに盛り込まれています。スムーズにうまくいった例だけではなく、苦労したり迷ったりしたプロセスも包み隠さずに書かれているため、読者は「他の人もこんな悩みを抱えていたのか」と共感を得やすくなっています。 - 具体的なワークシートや質問リストの提示
「自分を見つめ直す」と言っても、何から手をつければいいのか分からないことが多いもの。本書では、ワークシート形式やQ&A形式でセルフコーチングできるパートが複数設けられており、“読む”だけでなく“自分で考え、書き出してみる”プロセスが丁寧に示されています。 - 自己肯定感と行動促進のバランス
自分軸の確立においては、「自分に自信を持つ」ことと「実際に行動を起こす」ことの両立が求められます。本書はポジティブに自己理解を深める一方、行動を先送りにしないための具体策や、失敗を乗り越える方法にもしっかり言及している点が特徴的です。 - 時代に合わせたアドバイス
リモートワークや副業、SNSの活用など、現代ならではの働き方や情報発信の仕方についても言及があります。「個人の時代」と言われる中で、どのように自分軸を磨き活かしていくか。著者独自の視点と経験に裏打ちされた最新のアドバイスが得られます。
2. おすすめポイント
2.1 自分軸を「体系的に」学べる
巷にある自己啓発の本には、「自分軸を持とう!」と呼びかけるものは多いですが、その具体的なプロセスを体系立てて解説しているものは意外と少ないです。本書では、自分の内面を掘り下げる順番や質問リスト、行動に移すステップなどがきちんと整理されているため、初めて読んでも迷わずに自分軸の形成に取り組める点が魅力的です。
2.2 「やりたいことが分からない」と悩む方への実践的アプローチ
自分軸を築く第一歩でつまずきがちなのが、「本当にやりたいことが見つからない…」という壁です。本書は、こうした悩みを抱える人に向けて、段階的に自分の得意分野や興味を深掘りする方法を紹介しており、その結果として「これなら挑戦してみたい!」と思える種を見つけられる可能性が高いです。就職活動の軸がぼんやりしたままの人には特におすすめです。
2.3 「ブレない」という本当の意味を学べる
「ブレない自分軸」と聞くと、「周囲に流されず、頑固なまでに意志を貫くこと」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、本書で語られる「ブレない」とは、決して頑なさだけを指すのではなく、「自分の本質的な価値や信念を中心に据えつつも柔軟に成長し続けること」を意味しています。このあたりのニュアンスを理解することで、自分軸と周囲とのバランスをうまくとるヒントが得られます。
2.4 思考法と行動指針を“同時に”身につけられる
本書では、マインドセット(考え方・価値観)の話だけに終始することなく、それを支える行動指針や習慣づくりについてもかなり具体的に提案しています。たとえば、毎日の振り返り方や、定期的にセルフチェックを行う方法など、小さな行動から始められるヒントが満載です。「読んだ直後だけ気持ちが上がる本」ではなく、「継続して使える本」になっている点が大きなおすすめポイントでしょう。
3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方
ここからは、文系・未経験でIT業界への就職を考えている方に向けて、本書で得られる学びをどのように活かせるかを具体的に紹介します。
3.1 キャリアの軸を定めるうえで「自分を知る」プロセスとして
文系・未経験からIT業界に飛び込む場合、「自分には技術スキルが足りないのでは?」と不安に思う方が多いでしょう。しかし、IT業界で求められるのはプログラミングスキルだけではありません。コミュニケーション能力、論理的思考、ドキュメンテーション能力、マーケティング視点など、多岐にわたる強みを必要とします。本書で提示されている「自分の価値観や強みを明確にするワーク」を通じて、自分がどの分野で活かせそうかを考えるよいきっかけになります。
3.2 志望動機や自己PRを「自分軸」に沿って再構築する
就活において、志望動機や自己PRは非常に重要です。しかし、ありきたりなフレーズだけでは面接官の心には響きません。自分軸がしっかり固まっていると、「なぜIT業界で働きたいのか」「自分はどのような価値を提供できるのか」という問いに納得感をもって答えられるようになります。本書で学んだメソッドを活かし、自分ならではのストーリーを語ることで、未経験であっても面接官に強い印象を残せるでしょう。
3.3 業界研究や企業選びの判断基準として活用する
IT業界には、大手SIer、Web系ベンチャー、コンサルティング、ゲーム会社など、さまざまな業態が存在します。文系の方がIT業界全体を眺めると、どこに応募すべきか迷うことも多いはずです。本書で学ぶ「自分の価値観や優先順位を明確にする方法」を利用すれば、企業選びの際に迷ったときの判断基準を定めやすくなります。たとえば、「技術をとことん深めたいのか」「人の役に立つサービスに携わりたいのか」「新しい挑戦や変化が多い環境がいいのか」など、自分軸をベースにした優先順位がはっきりしてくるでしょう。
3.4 学習計画の立て方とモチベーション維持に活かす
IT業界に足を踏み入れるためには、プログラミング言語や基本情報技術者試験など、何らかの学習が必要になるケースが多いです。そのときに問題となるのが、未経験からの勉強をどこから始め、どう継続するか。本書で解説されている「目標設定」と「行動計画の立て方」は、この学習計画づくりにも応用できます。「今月はJavaの基礎をここまで学ぶ」「3ヶ月後にはWebアプリを一つ作ってみる」といったゴールを設定し、そこに向かう行動をブレずに継続する仕組みづくりに本書のメソッドが大いに役立つはずです。
4. まとめ
森田市郎著『一生ブレない自分軸の身につけ方〜やりたいこと、才能、目標を見つける!〜』は、自分自身の軸を見失いがちな現代において、これからの人生やキャリアを考えるうえで大きな指針を与えてくれる一冊です。ビジネスや自己啓発の世界では頻繁に取り上げられる「自分軸」というテーマを、著者の豊富な経験談と実践的なワークを通じて着実に身につけられるのが最大の魅力といえるでしょう。
特に、文系・未経験からIT業界へチャレンジしたい方にとっては、自己分析やキャリアの方向性を見定める手助けになるだけでなく、企業選びや志望動機の作り込み、学習計画の立案といった実践的な場面でも活かせる内容が詰まっています。IT業界ではスキルや知識だけでなく、「なぜ自分はこの仕事をしたいのか」「どのように自分を成長させたいのか」という意志やモチベーションが大きく評価される傾向にあります。そうした面で、いち早く「自分軸」を確立できることは、未経験者にとってはとくに大きなアドバンテージになるはずです。
就職・転職活動はもちろんのこと、既に社会人として働いている方がキャリアチェンジやスキルアップを目指す場合にも、本書は心強い味方となるでしょう。自分軸があれば、たとえ周囲の状況が変化しても、「自分は何を大切にしているのか」「どんなことに喜びを感じるのか」を見失わずに進んでいくことができます。IT業界は移り変わりが激しい世界だからこそ、柔軟に変化を楽しみつつも、その土台には一本筋の通った「自分軸」が必要とされるのです。
文系・未経験という立場であっても、ITという広大なフィールドで活躍する可能性は十分にあります。あとは「自分がどうありたいか」「何をやりたいか」を明確にし、必要な学習や準備を着実に重ねるだけです。本書のワークやアドバイスを活用しながら、自分ならではの強みや想いを大事にして、新しいステージに飛び込んでみてはいかがでしょうか。ぜひ一度手に取って、自分軸を育む一歩を踏み出してみてください。