本記事では、『ふつうのエンジニアは「営業」でこそ活躍する 〜セールスエンジニアとして最短で評価される方法』について、書籍の概要やおすすめポイント、さらには文系・未経験からのIT就活へどのように活かせるかを中心にまとめています。
IT業界の営業職やセールスエンジニアという仕事に興味がある方はもちろん、理系出身ではないからこそ不安を抱えている方にも役立つ内容です。ぜひ、本書を活用してIT業界でのキャリアを切り拓いてみてください。
1. 書籍の概要
1.1 タイトル
『ふつうのエンジニアは「営業」でこそ活躍する 〜セールスエンジニアとして最短で評価される方法』
1.2 著者・出版社
- 著者:時光 さや香(ときみつ さやか)
- 出版社:技術評論社
- 発売日:2021年9月4日
著者はエンジニアとしての経験を経て、「営業」の分野でも成果をあげる、いわゆる“セールスエンジニア”として活躍してきた方です。技術的な知識を背景に、顧客の課題をヒアリングしながら最適な解決策を提供する——このセールスエンジニアの働き方は、単にエンジニアリングだけでなく営業としてのコミュニケーション力も問われる分野です。本書では、その具体的な仕事の進め方やステップアップの方法が詳しく紹介されています。
1.3 本書が取り扱う主な内容
- セールスエンジニアの役割と魅力
“セールスエンジニア”という言葉自体、あまり馴染みがない方も多いかもしれません。本書では、そもそもセールスエンジニアがどのような業務を担い、なぜIT業界で必要不可欠な存在となっているのかを丁寧に解説しています。製品・サービスに関する技術的な理解に加え、顧客との折衝や提案資料作成など、幅広いスキルが求められる職種であることがわかります。 - エンジニアが営業を学ぶメリット
通常、エンジニアと営業は分業されているイメージがあります。しかし、エンジニアリングの知識を活かして顧客にわかりやすく製品やサービスを提案できる人材は、社内外から大変重宝されます。本書を読むと、なぜ技術的背景をもつ人こそ「営業」を学ぶとよいのか、その理由と具体的なメリットがしっかり理解できます。 - セールスエンジニアとして成果を出すための実践的ノウハウ
営業活動の流れに沿って、どのように顧客のニーズを把握し、技術的視点を取り入れながら最適な提案を行っていくかというプロセスが豊富な事例とともに紹介されています。さらに商談準備、資料作成、プレゼンテーションやトーク術などの具体的な方法論も解説されており、実践的なガイドブックとしても役立つ内容です。 - キャリア形成におけるセールスエンジニアの可能性
セールスエンジニアの経験を積むことで、社内での評価が高まりやすくなるだけでなく、転職や独立、マネジメントポジションへのキャリアアップの機会も得やすくなるといわれています。本書では著者自身や周囲の事例を踏まえながら、セールスエンジニアという立場からどのようなキャリアパスを描けるのかを、具体的に示してくれています。
1.4 本書の特徴
- エンジニア目線×営業目線の両立
著者がエンジニアから営業へとキャリアを広げた経験を持つため、技術的な専門知識だけでなく、営業現場のリアルな課題感も踏まえたアドバイスが多数掲載されています。 - わかりやすい言葉選びと構成
セールスエンジニアという職種を初めて知る読者でも理解しやすいよう、専門用語を極力かみ砕き、イメージをつかみやすいよう図や具体例を用いた解説が多い点が印象的です。文系や未経験者にも読み進めやすい配慮が感じられます。 - 最新のITトレンドを踏まえた内容
クラウド、SaaS、DXといったIT業界のキーワードが当たり前になった昨今、セールスエンジニアに求められる役割はさらに広がっています。本書では、そのような現場の変化に即した情報やトレンドを踏まえつつ、どのように仕事を進めればよいかを示しています。 - キャリアパスに役立つ具体例が充実
セールスエンジニアとしてどのように成果を出せば評価につながるのか、そしてそこからどんなキャリアアップが見込めるのか、という具体的なケーススタディが紹介されているため、「もし自分がそうなったらどう活かせるか」のイメージがつかみやすくなっています。
2. おすすめポイント
ここからは、とりわけ文系・未経験者の方にとって役立ちそうな観点で、本書のおすすめポイントを4つ挙げてみます。
2.1 技術+コミュニケーションで“希少性”を高めるヒントが得られる
IT業界では、技術力があるだけでももちろん強みになりますが、顧客との折衝や課題解決に必要なコミュニケーション力も兼ね備えている人材は、さらに重宝されます。本書では「エンジニアが営業を学ぶ」重要性を強調しており、
- なぜ両方のスキルを身につけるべきか
- どんな強みが生まれるのか
を、わかりやすく解説しています。文系・未経験からIT業界を目指す方は、「技術はやりたいけれど、自分にはハードルが高いかも…」と敬遠しがち。しかし、本書を読むと「むしろ両方のスキルを少しずつ身につけることで、差別化できる道が開ける」という考え方が得られ、チャレンジする意欲が高まるはずです。
2.2 コミュニケーション力を活かす具体的な手法が満載
セールスエンジニアが活躍するためには、顧客や社内の技術担当者と意思疎通をスムーズに行う必要があります。本書では、その際に気を付けたい「ヒアリングのポイント」や「プレゼンテーションの組み立て方」、「相手に伝わる資料作成」のノウハウなどが網羅的に紹介されています。
文系であることを強みにできる場合のひとつとして、コミュニケーション力や言語表現力があげられますが、本書にある具体的なテクニックを取り入れることで、さらに説得力と共感を得やすい提案ができるようになるでしょう。
2.3 文系・未経験でも“エンジニア的思考”を身につけるきっかけになる
著者はエンジニアとしてのバックグラウンドを持ちながら営業の世界へ飛び込みましたが、本書の内容自体は技術畑の人しか理解できないものではありません。むしろ「エンジニアとしての発想やプロセスをセールスにどう活かすか」が解説の軸なので、
- 問題をロジカルに整理する
- 客観的データを基に提案内容を組み立てる
といったエンジニア的な思考が、営業プロセスでどのように活躍するかが掴みやすくなっています。文系・未経験であっても、こうした“エンジニア的思考”は学習可能ですし、IT業界の理解を深めるうえでも役立ちます。
2.4 キャリアアップの幅広い可能性を知ることができる
セールスエンジニアとして評価されるようになると、企業内での昇進はもちろん、プロダクトマネージャーやコンサルタント、起業など多方面にキャリアを広げる道も見えてきます。本書には、実際にセールスエンジニアから飛躍した人々の事例や、転職市場でのセールスエンジニア需要についても触れられているので、「自分がどのようにキャリアを形成できるのか」を具体的にイメージしやすくなるでしょう。
文系の方にとっては、「エンジニアになる」といってもどんな将来像を描けばいいのかピンとこないことが多いかもしれませんが、本書で示される幅広い選択肢は大いに参考になるはずです。
3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方
次に、本書の内容を踏まえて、文系・未経験の方がIT業界への就職活動を行う際にどのように活かせるかを4つの観点から整理します。
3.1 「セールスエンジニア的視点」を取り入れた志望動機づくり
IT業界に興味を持ち、志望する企業を探すとき、「なぜITなのか」「どのように自分を活かせるのか」という点を言語化するのは大切ですが、文系・未経験の方の中には、「技術的な話が苦手だから…」と不安を感じる人が少なくありません。
しかし、本書が強調するように「技術をある程度理解したうえで、営業的なコミュニケーションを活かす」という姿勢を志望動機に盛り込むと、「未経験だけれど営業力やコミュニケーション力を軸に、IT知識を習得しながら貢献していきたい」という筋道が見えやすくなります。これにより、企業側からはポテンシャルの高さを評価されやすくなるでしょう。
3.2 面接でのプレゼンテーション力強化
面接では、自己PRや志望動機をプレゼンのようにまとめて話すシーンもあります。文系ならではの強みとして「分かりやすい説明」や「相手のニーズを引き出す質問力」はアピール材料になりがちですが、本書で得られるヒントを実践すれば、さらに説得力が増すでしょう。
例えば、「顧客の課題を見える化するプレゼン資料の作り方」「自分と相手のゴールを一致させるためのコミュニケーション」などの考え方を面接に活かしてみてください。質問への受け答えやプレゼン形式での志望動機説明でも、一段と論理的かつ魅力的に伝えられるようになります。
3.3 学習プロセスの具体例として活用
文系・未経験からITを学び始める際、どこから手をつければいいのか迷うこともあるでしょう。本書に示されるセールスエンジニアとしての学習ステップや、実際に顧客に提案するための技術知識のキャッチアップ方法は、初学者にとっても大いに参考になります。
「必要な知識をまずはどこまで身につけるか」「その知識をどう相手に伝えればいいのか」という流れがイメージしやすくなるので、IT業界で必要とされる学習姿勢やキャッチアップ力を、就活の面接やES(エントリーシート)でアピールする際にも活かせるはずです。
3.4 将来のキャリアパスを具体的にイメージする
文系・未経験でIT業界を目指す方のなかには、「エンジニアになるのはいいけれど、その先どんなキャリアがあるの?」と疑問を抱く人も少なくありません。単にプログラマーやシステムエンジニアになるだけでなく、本書が紹介する「セールスエンジニア」という職種は、コミュニケーション力と技術力を組み合わせる職種として大きな魅力があります。
さらに、本書を通じて得られるキャリア像(プロダクトマネージャーやコンサルタント、マネジメントなどへの道)を理解しておけば、就活の段階で「入社後はこういうキャリアを築きたい」と明確に語れるようになります。企業にとっても、「将来のビジョンを持っている学生」として好印象を与えやすいでしょう。
4. まとめ
『ふつうのエンジニアは「営業」でこそ活躍する 〜セールスエンジニアとして最短で評価される方法』 は、エンジニアリングと営業を組み合わせた「セールスエンジニア」という職種の可能性や、その具体的な働き方を徹底的に解説しています。文系・未経験からIT業界へ挑戦するうえで不安を抱えている方も、本書を読むことで「技術はもちろん大事だけれど、コミュニケーション力や提案力が活かせる道がある」という確かな実感を得られるはずです。
特にIT業界は高度なサービスや製品が増える一方で、顧客との認識をすり合わせるプロセスが非常に重要になっています。そこで“技術×営業”の両軸で動ける人材が重宝されるのは必然といえるでしょう。本書が提案するノウハウや心構えは、文系であっても「まずは基礎的な技術知識を身につけ、それを正確にかつ分かりやすく伝えていく」というスタンスを築くうえで大きなヒントになります。
本書を活用して、自分なりの武器を見つけ出し、IT業界でのキャリアを大きく飛躍させるきっかけにしてみてください。文系・未経験だからこそ生かせる視点を持ち、“技術と営業のかけ橋”として活躍する未来がきっと見えてくるはずです。