【書評】新版 ITコンサルティングの基本

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本記事では、文系・未経験からIT業界への就職を目指す皆さんに向けて、克元 亮 氏の著書『新版 ITコンサルティングの基本』(日本実業出版社、2021年5月20日発行)をご紹介します。

IT業界の中でも特にコンサルティング職は人気が高く、業務内容や求められるスキルが多岐にわたるため、未経験の方が漠然と「難しそう…」と感じてしまう領域の一つでもあります。しかし、ビジネス全体を俯瞰しつつITの専門知識を活用して企業の課題解決を支援するITコンサルタントは、今後さらに需要が高まる職種です。

本記事では、本書の内容を分かりやすく整理するとともに、文系・未経験の方がどのように本書を活用し、就職活動につなげていけばよいのかをご紹介していきます。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

『新版 ITコンサルティングの基本』

1.2 著者・出版社

  • 著者:克元 亮
  • 出版社:日本実業出版社
  • 出版年月日:2021年5月20日頃

著者の克元 亮 氏は、長年ITコンサルタントとして数多くの企業・組織の課題解決に携わってこられた方です。経営戦略からシステム導入まで、幅広い経験をもとに「ITコンサルティングとは何か」を分かりやすくまとめています。

1.3 本書が取り扱う主な内容

本書はITコンサルタントとして必要とされる知識やスキル、具体的な業務プロセスなどを網羅的に扱っています。たとえば以下のようなトピックがカバーされています。

  • ITコンサルティングの概要
    • コンサルティング業界全体の位置づけや、ITコンサルの役割とは何か
    • ビジネス分析とIT導入の橋渡しをするITコンサルタントの意義
  • ITコンサルティングのプロセス
    • 現状分析、課題特定、ソリューション提案、導入支援、運用・定着化サポートなど、一連の流れ
    • プロジェクトマネジメントやステークホルダーマネジメントのポイント
  • ITコンサルタントに求められるスキル
    • フレームワーク思考(ロジカルシンキング、デザイン思考など)
    • 各種IT技術の基礎知識(クラウド、セキュリティ、データベース等)
    • プロジェクト管理スキルや、コミュニケーション能力
  • 実際のコンサル事例やケーススタディ
    • 具体的な業界・企業の導入事例をもとに、どのように提案から実行支援まで行うか

1.4 本書の特徴

  1. 分かりやすい言葉での解説
    専門用語やIT知識を前提とせずに解説が進められているため、IT初心者や文系出身の読者でも読みやすい構成になっています。必要な用語の解説が丁寧に行われているので、「そもそもITコンサルティングって何をする仕事?」というレベルから知識を深められます。
  2. 現場視点でのアドバイスが豊富
    著者自身が実際に数多くのクライアント案件を担当してきたからこそ得られた、リアルな成功・失敗事例が随所に挟まれています。そのため、抽象的な概念説明だけでなく「現場でよくある課題は何か」「どう対処すべきか」といった踏み込んだ内容に触れられるのが特徴です。
  3. 最新のITトレンドにも対応
    本書は2021年に出版された「新版」と銘打たれていることもあり、クラウドやビッグデータ、AI、RPAなど、近年のIT業界で注目度の高いテクノロジーやソリューションについての見解も加筆・更新されています。「ITコンサルの仕事は、こうした新技術とどのように結びついているのか?」といった疑問が解消されるはずです。
  4. コンサルティングだけでなく、ビジネス全体の視点を提供
    ITコンサルティングは単なるシステム導入支援ではなく、クライアントの経営や事業戦略に入り込み、何を改善すべきかを見極める仕事です。本書では、経営戦略やビジネスモデルを理解することの重要性も強調され、幅広いビジネス知識の必要性が説かれています。

2. おすすめポイント

ここでは、本書を通じて得られる魅力的な点を4つにまとめました。

2.1 ITコンサルの「全体像」が一望できる

ITコンサルティングといっても、経営戦略の支援からシステム開発のプロジェクトマネジメント、さらに導入後のフォローまで幅広い業務範囲があります。本書では、そのプロセスを「課題の洗い出し→解決策の提案→実行→評価と定着化」という流れに沿って体系立てて解説しているため、自分が就職活動の中で「どの工程に興味があるのか」や「各フェーズでどんなスキルが必要なのか」を整理できます。たとえば、コミュニケーションが得意な人は要件定義や顧客折衝のフェーズに強みが活かせるかもしれません。データ分析が好きな人は課題発見や改善策提案に魅力を感じるかもしれない…というように、自分とITコンサルタントとの接点をイメージしやすくなります。

2.2 文系目線でも理解しやすい言葉選び

IT関連の書籍はどうしても専門用語が多くなりがちですが、本書では文系や未経験者にも配慮して、できる限り平易な表現が使われています。また、もし専門用語が登場したとしても、その定義や背景についてページの注釈やコラムなどでフォローされていることが多いです。たとえば「RFP(提案依頼書)」や「PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」といった専門用語を初めて聞いたときに戸惑うことが少なくなるでしょう。

2.3 リアルなケーススタディが多数掲載

ITコンサルタントの実務を知るためには、実際にどんな案件があり、どのような進め方をしたのかを知ることが近道です。本書には、業界別事例や具体的な成功・失敗事例が数多く紹介されています。たとえば「流通業での基幹システム刷新プロジェクト」や「製造業の在庫管理システム改善」など、ITコンサルがクライアント企業にどのように関わり、最終的な成果を出したかが具体的に書かれています。このようなケーススタディを読むことで、ITコンサルのダイナミックな活躍の場を疑似体験できるでしょう。

2.4 最新トレンドにも触れられる

AIやRPA、ビッグデータなど、IT業界は目まぐるしく新しい技術が登場し続けています。文系出身・未経験の方にとっては、「技術的な話題は難しそう」という先入観があるかもしれません。しかし、本書では最新のITトレンドがコンサルティングとどう結びつくのかがコンパクトにまとめられています。興味があるけれど何から学べばいいのか分からない人にとって、まずはここを入口にして学習計画を立てるきっかけとして活用できるのが魅力です。


3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

次に、本書を読んだうえで、実際の就職活動にどのように活かせるかを4つの視点でご紹介します。

3.1 ITコンサルのイメージを明確にする

文系・未経験の方がITコンサルを志す際、まず重要なのは「ITコンサルタントが実際にどんな業務をするのか」を正しく理解し、イメージすることです。本書を読むことで、たとえば「クライアント企業の経営課題をヒアリングし、それをITを用いて解決するためのプロジェクトをマネジメントする」といった具体像がつかめます。面接などでも、自分が応募先の企業でどのように活躍したいのかを明確に説明できるようになるはずです。

3.2 求められるスキルセットの確認と自己分析

ITコンサルタントには幅広いスキルが求められますが、大きく分けると「ビジネス理解力」「コミュニケーション能力」「IT技術の基礎知識」「プロジェクト管理能力」などがあげられます。本書を読むと、これらをさらに細かく分解して学べるので、就活の自己分析に役立ちます。「自分は分析が得意だけど交渉ごとは苦手だから、そこを今後どう補うか」「IT技術のトレンドを学ぶにはどうしたらいいか」など、現状と理想のギャップを見つけて具体的な学習計画を立てるきっかけになります。

3.3 志望動機や自己PRに活かす

面接ではしばしば「なぜITコンサルを志望しているのか」「ITコンサルタントとしてどのように価値を提供したいか」といった質問が投げかけられます。本書で学んだ知識をベースに、自分の強みや経験をどのように活かせるのかをストーリーとしてまとめると、説得力のある志望動機が作れます。特に文系出身の方は、「IT技術の導入だけではなく、企業の課題をビジネス視点で捉えられる強みがある」といったポイントを強調しやすくなります。

3.4 具体的な業界・案件のイメージを膨らませる

先述のとおり、本書には多岐にわたるケーススタディが紹介されています。これらを読むことで、ITコンサルが活躍する業界の幅広さや、案件ごとに必要となる知識・スキルが異なることを知ることができます。「自分は流通や小売分野に興味があるから、在庫管理やECサイト構築のプロジェクトに携わりたい」「製造業の生産管理システムのコンサルに興味がある」など、より明確な将来像を描けるでしょう。こうした具体的なイメージをもって企業研究や面接対策を進めることが大切です。

4. まとめ

『新版 ITコンサルティングの基本』は、IT業界への関心が高まる今、文系・未経験者にも理解しやすいように書かれており、ITコンサルタントという職種の全体像や具体的な業務プロセス、求められるスキルなどをしっかりと掴める一冊です。コンサルティング業界の基礎知識はもちろん、最新のITトレンドを活用するための考え方も身に付くため、就職活動での情報収集の入り口としても最適でしょう。

ITコンサルタントは「ビジネス課題をITでどう解決するか」という視点で企業を支援する、社会的にも大変重要な役割を担っています。未経験の方であっても、強みとなるコミュニケーション力や論理的思考力、柔軟な発想力を活かし、必要なIT知識をコツコツと習得することで十分活躍できる領域です。本書を通じて、ITコンサルの業務内容や働き方、キャリアパスを把握し、ぜひご自身の就職活動の軸や将来的なキャリアビジョンを明確にしてみてください。文系出身だからこそ得られる強みを再確認し、本書で得た知見をIT業界・ITコンサルへの道に活かしていきましょう。

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