【書評】ICTだけじゃない!富士通の働き方改革

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本記事では、文系・未経験の方が「ICTだけじゃない!富士通の働き方改革」(富士通エフ・オー・エム 2018年05月24日刊)を読むことで得られる知見や、就職活動において活かせるポイントを中心に書評をまとめています。

本書は、富士通がどのように“働き方改革”を実践し、組織や個人の成長へつなげているのかを紹介した一冊です。ICT企業としての強みを活かしつつも、“ICTだけ”に留まらない多角的な取り組みを行っている富士通の実例は、文系・未経験の方がIT業界へチャレンジする際にも、視野を広げるきっかけになるでしょう。

ぜひ、本書を手に取って、自分自身の働き方やキャリアを見つめ直すヒントを得てみてください。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

ICTだけじゃない!富士通の働き方改革

1.2 著者・出版社

  • 著者:富士通エフ・オー・エム
  • 出版社:富士通エフ・オー・エム株式会社
  • 出版年月:2018年05月24日

本書は富士通グループの中でも研修・教育事業を手掛ける富士通エフ・オー・エムが執筆しています。ICTを軸とする富士通の企業カルチャーやノウハウが色濃く反映されている点が特徴です。

1.3 本書が取り扱う主な内容

  1. 富士通が進める働き方改革の背景
    少子高齢化や労働人口の減少、ICT技術の進歩といった社会情勢の中で、企業がどのようにして従業員の能力を最大限発揮させるかという課題に富士通はどう取り組んできたのか。その背景と、働き方改革に取り組まざるを得ない理由が述べられています。
  2. 具体的な施策と導入プロセス
    テレワーク(在宅勤務やサテライトオフィス活用)、フリーアドレス制度、柔軟な休暇取得制度など、多角的な制度設計をどのように行い、どのようなステップで導入を進めたのかが、具体的な事例とともに紹介されています。成功だけでなく、導入時の課題や、現場の声とのすり合わせに苦労した点も包み隠さず書かれています。
  3. ICT技術の活用だけに留まらない組織改革
    働き方改革というと、ICTツールの導入に注目が集まりますが、本書ではそれだけでなく、組織体制の見直しや風土改革にも積極的に取り組んだことが強調されています。単なるシステム導入で終わらない、組織全体を変革するうえでの工夫が取り上げられています。
  4. 働き方改革の成果と今後の展望
    具体的な数値データとともに、成果や今後の課題・展望が示されています。読み手は「なぜ、どこまで成果が出たのか」「今後はどのようなステップを踏んでさらに進化するのか」といった点を把握できるようになっています。

1.4 本書の特徴

  • 富士通の実例が豊富
    大手企業ならではの視点やスケール感のある実例が数多く紹介されています。中小企業との違いを意識しつつも、応用できるヒントが多く得られます。
  • 制度設計から意識改革まで広範囲をカバー
    単に「ICTシステムを導入しました」というだけではなく、そこで働く人々のマインドセットや組織文化の変革まで、俯瞰的にまとめられている点が魅力です。
  • 現場の声を織り交ぜている
    経営者や管理部門の目線だけでなく、実際に働く従業員の声や事例も登場するため、リアリティのある視点で働き方改革を捉えることができます。
  • 先進企業としての知見を活かしたノウハウ
    富士通は日本を代表するICT企業でありながら、多角的な事業展開を行っています。その経験や知見が詰まったノウハウを垣間見ることができます。

2. おすすめポイント

2.1 経営層から現場まで一貫した取り組み事例

本書では、富士通の働き方改革において「経営トップの意志決定から現場に浸透させる」までの流れを丁寧に紹介しています。働き方改革は一部の部署だけで実施しても上手くいかず、企業全体の理解と協力が不可欠です。本書では、経営層による方針設定、組織での協議、そして現場で運用する社員の視点の三位一体で解説されているため、働き方改革を横断的に学ぶことができるでしょう。

2.2 ICTツールだけに頼らない柔軟な制度設計

働き方改革と聞くとテレワークやグループウェアなどのICT導入が想像されますが、本書では「ICT導入の前に、まず働き方の目的を明確化する必要がある」という点を強調しています。ICTがあれば自動的に改革が進むわけではなく、企業が求める人材像、社員のワークライフバランス、コミュニケーションの活性化など、多角的な目的に向けて制度や仕組みを整え、それを補完する形でICTを活用するという考え方が示されています。柔軟な制度設計の重要性に気づかされるでしょう。

2.3 従業員が主役となる社内風土づくり

本書では、改革推進の原動力として「従業員一人ひとりが当事者意識を持つこと」の大切さを挙げています。管理部門や人事が用意した制度を「与えられる」だけではなく、従業員自身が「自分たちの働きやすい環境を自分たちでつくる」という意識を育むための仕掛けが紹介されているのです。テレワークやフリーアドレスなどの制度があっても、それを使いこなすには社員の積極性が欠かせません。そのための風土改革をどう進めているのか、具体的なエピソードが語られているのは貴重なポイントです。

2.4 成果と課題を丁寧に提示

企業の取り組み事例を紹介する本は数多くありますが、成果だけを並べて終わるケースも少なくありません。一方、本書では成果とともに「課題」や「今後のステップ」も丁寧に提示されており、理想論だけでなく、実践するうえでの試行錯誤が見て取れます。企業によって規模や業種、カルチャーは異なるものの、自社に導入する際にどのような点に気をつければよいかを考えるヒントになるでしょう。

3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

本章では、文系・未経験の方がIT業界を目指す際に、本書で学んだ内容をどのように就職活動に活かすかを4つの観点から紹介します。また「富士通を目指す就活」においても、それぞれのポイントをどのように役立てられるか併せて解説します。

3.1 組織変革の全体像を理解する

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    IT業界と聞くとテクノロジーやプログラミングスキルが注目されがちですが、本書を通じて「IT企業における組織変革の重要性」に気づくことができます。ITの活用は当然としても、その背景には経営戦略・人事戦略などの非技術的な分野が大きく関わります。文系・未経験の方こそ、こうした“組織変革の全体像”や“人と組織を活かす仕組み”に注目し、自分が活躍できる役割を探る視点を養うとよいでしょう。
  • 富士通を目指す就活に活かす
    富士通の採用情報や企業研究を進めるうえでも、本書で紹介されている「どうして改革が必要だったのか」「組織をどのように変えてきたのか」を理解することは、面接などでのアピールにもつながります。自社を深く理解し、その一員として貢献したい姿勢を示すことができれば、大きなアドバンテージになるはずです。

3.2 ICT導入だけに留まらない課題設定の力を養う

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    働き方改革というテーマからもわかるように、現代の企業ではテクノロジーを導入するだけで解決しない課題が山積みです。例えば「社員同士のコミュニケーション不足をどう改善するのか」「ワークライフバランスをどう整えるのか」といった問題は、制度設計や組織風土、リーダーシップなど幅広い視点で解決策を考える必要があります。本書の事例を学ぶことで、課題の本質を見極め、適切な解決策を立案できる人材を目指すヒントが得られるでしょう。
  • 富士通を目指す就活に活かす
    富士通は、ITソリューションを提供するだけでなく、顧客企業の経営課題を「ともに考え、ともに解決する」パートナーとしての役割を重視しています。書籍にあるような「単なるICT導入にとどまらず、本質的な組織改革まで踏み込む姿勢」を理解し、それを自分なりに整理できれば、面接や志望動機で具体的な熱意を示すことができるでしょう。

3.3 自分の強みを“ヒューマンスキル”としてアピールする

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    文系出身だと「専門技術を持っていない」という悩みを抱く方が少なくありませんが、IT企業ではコミュニケーション力や調整力、課題発見力など、ヒューマンスキルも重視されます。本書に登場するような働き方改革の事例を踏まえて、「人や組織を活かす視点」に興味があることをアピールすれば、IT企業の選考でも大きな評価につながる可能性があります。
  • 富士通を目指す就活に活かす
    富士通はグローバル規模でのビジネス展開や、多様な顧客企業へのソリューション提案を行っています。その中で必要とされるのは、異なる部署や異文化をつなぐ調整力やコミュニケーション能力です。本書の事例を踏まえて「ヒューマンスキルを軸に、ICTで顧客や社会に貢献したい」という姿勢を示せば、富士通が求める“総合力のある人材”として好印象を与えられるでしょう。

3.4 企業研究の切り口として活用する

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    「働き方改革」は各企業が競合他社との差別化を図るうえでも重要なトピックです。会社説明会や企業のHPなどで「自社の働き方改革」の取り組みを紹介しているケースも増えています。本書を読めば、実際にどのような視点で改革が進められているのかを理解できるため、企業研究の際の質問や志望動機にも活かしやすいです。他社の取り組みと比較することで、より自分に合った企業を見極める材料になります。
  • 富士通を目指す就活に活かす
    富士通の場合、本書が社内の実例をベースに書かれているため、最も“生”の企業風土が垣間見える情報源と言えるでしょう。企業ホームページやニュースリリースだけではわからない具体的なエピソードが多く掲載されているため、面接時やES(エントリーシート)で「富士通らしさ」を意識したアピールをしやすくなるはずです。

4. まとめ

「ICTだけじゃない!富士通の働き方改革」は、大手ICT企業である富士通がどうやって企業全体の働き方改革を進め、社員一人ひとりの働きがいを引き出してきたのかを具体的に示した一冊です。単なるICTツールの導入だけでなく、社員の意識改革や組織文化の変革まで踏み込み、試行錯誤を繰り返す様子は非常にリアリティがあります。

文系・未経験からIT業界を目指す方にとっては、「IT企業=テクノロジー」といった狭い視野に留まらず、「人や組織を活かす視点」「経営や人事戦略とICTがどう融合しているか」といった複合的な面を知る良い機会になるでしょう。企業研究の深掘りや、自己PRのヒントにも役立つはずです。特に富士通への就職を検討している方には、同社のカルチャーや価値観をより深く理解できる格好の書籍となっています。

ぜひ本書を読み進めながら、「自分だったらこの改革にどのように携わりたいか」「富士通や他のIT企業で、どんな役割を果たせるか」といった問いを常に持ち続けてみてください。そうした問いかけが、新たなキャリアを切り拓く大きな一歩になるはずです。文系・未経験からのIT就活を成功させるためにも、「ICTだけじゃない働き方改革」の本質を学び、社会や組織が変わり続ける時代に対応できる柔軟な思考を身につけていきましょう。

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