【書評】富士通式! 営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法

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本記事は、『富士通式! 営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法』の書評となります。富士通はIT業界を代表する総合電機メーカー・SIerの一角であり、企業規模が大きく、様々な分野で最先端のテクノロジーを駆使しています。

本書からは、富士通がどのようにしてデジタルシフトを進めているのかが具体的に学べるだけでなく、それを自身のキャリア形成や就活対策にも活かせるヒントが多く得られるでしょう。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

『富士通式! 営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法』

1.2 著者・出版社

  • 著者:友廣 啓爾(ともひろ けいじ)
  • 出版社:翔泳社
  • 発売日:2024年08月26日頃

著者の友廣氏は富士通で長年にわたり営業の第一線を経験し、現在はデジタルトランスフォーメーション(DX)分野の研修やコンサルティングにも携わる人物です。ITソリューションの現場と営業部門の両面に深く関わってきた経歴が、本書の説得力を支えています。

1.3 本書が取り扱う主な内容

本書では、富士通が行ってきた営業のデジタルシフトの事例を中心に、組織変革とカルチャー醸成の手法が解説されています。デジタルシフトといえば、テクノロジーを導入して業務の効率化を図るイメージがありますが、本書はそれだけにとどまりません。むしろ、「営業の仕事そのもの」を構造から見直し、顧客との関係づくりやデータドリブンな営業スタイルをどのように実践しているかに重きを置いている点が特徴です。

具体的には、以下のような内容が扱われています。

  • 営業組織におけるDX推進の全体像
  • 営業担当者とエンジニアが協働するための仕組み
  • コミュニケーションのデジタル化と顧客との接点改革
  • 営業データの分析と活用による売上拡大の実例
  • 営業パーソンのマインドセット・カルチャー変革の重要性

本書は、決して「ITに強い人だけが扱えるような内容」ではありません。著者の経験に基づくリアルなエピソードや、誰でも理解しやすいテンプレート、ステップ別の変革モデルなどが含まれており、文系の方やIT未経験の方でも読み進めやすい構成になっています。

1.4 本書の特徴

  1. 実践的なノウハウが豊富
    富士通内で実際に行われた営業改革の具体的なデータやストーリーが数多く盛り込まれており、「絵に描いた餅」ではないリアルな知見が得られます。
  2. 組織カルチャーへの着目
    テクノロジーの導入はもちろん大切ですが、それだけではうまくいきません。本書では、営業担当者のマインドセットやリーダーシップ、部門を超えたコラボレーションの仕組みづくりに特に焦点が当てられています。ITの知識がない人でも「どのように組織が変わるべきか」をイメージしやすいでしょう。
  3. 文系出身者でも理解できる平易な解説
    ITやデジタルテクノロジーがテーマになっていますが、難解な専門用語は控えめです。デジタルマーケティングやデータ分析に苦手意識がある方にも優しい解説が施されています。
  4. “今後の営業”を考えるうえでヒントになる
    営業はもはや商品を売り込むだけの仕事ではなく、課題解決型・コンサルティング型へのシフトが求められています。本書は、富士通の事例を通して「これからの営業はどうあるべきか」を明確に提示してくれるでしょう。

2. おすすめポイント

2.1 「カルチャー変革」の具体的ステップがわかる

本書が強調しているのは「営業組織のカルチャー」をどう変えていくか、という点です。技術・システム・ツールを導入するだけでは、営業スタイルは根本的には変わりません。本書では、どのように社内研修や部署間のコミュニケーションを設計し、研修後に現場で定着させていくかまでを詳細に解説しています。富士通で実際に行われた取り組みの具体例を踏まえるため、抽象的な理論ではなく、実践レベルの手順として学べる点は大きなメリットです。

2.2 営業×ITエンジニアの連携方法が丁寧に解説

大企業の営業職とITエンジニアは、しばしば部署が分断されがちです。文系の営業担当者から見ると、エンジニアが何をやっているのかイメージしにくいですし、エンジニア側も営業が顧客とどんなやりとりをしているか把握しにくい側面があります。本書では、富士通が社内のサイロ化を克服するために取り入れた仕組みや、部門を越えたチーム編成、プロジェクト管理の方法などが紹介されています。これは、IT業界に限らず他業界でも参考になる部分が多いでしょう。

2.3 データを活用した「予測と提案」の実際が見える

デジタルシフトの要とも言えるのが、「データドリブンな営業スタイル」です。本書では、顧客情報・購買履歴・コンタクトログなどの営業データをどのように蓄積し、分析し、営業提案に活かしているのかが紹介されています。たとえば、クラウドシステムを活用することで、リアルタイムに営業進捗や顧客状況を共有し、それを基に最適な提案活動を行うプロセスが解説されるなど、非常に実践的です。文系の人が「データなんて苦手…」と考えていても、本書で紹介される事例を追うことで「このようにデータを活用すれば、より顧客の課題に合った提案ができるのか」と具体的にイメージしやすくなるはずです。

2.4 営業担当者のマインドセットと人材育成の方策

デジタルシフトを成功させるには、社員一人ひとりのマインドセットをどう育むかがカギになります。本書では、富士通で行われた「意識改革」のプロセスが詳細に描かれています。例えば、これまで個人の勘と経験だけを頼りにしていた営業担当が、データ分析に基づいた意思決定にシフトしていく過程には、ある種の抵抗もあったようです。そうした抵抗をどう乗り越えていったのか、人材育成プログラムでどのような手法を用いたのかなど、具体的な手がかりを得られるのは非常に貴重と言えます。

3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

続いて、本書で得られる知見を「文系・未経験からIT業界を目指す方がどのように活かせるか」を具体的に解説します。また、富士通をはじめとした大手IT企業の選考においても、本書の学びをどのように役立てられるかを合わせて紹介します。

3.1 営業とITの連携を理解して、仕事のイメージを広げる

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    多くの文系出身者がIT企業を志望する際、「自分はプログラミングができないから無理では…」と不安に思いがちです。しかし本書を読むと、営業とエンジニアが連携する仕組みや、エンジニアではなく営業としての強みを生かす場面が具体的に示されています。IT企業での営業やコンサルティングの仕事は、顧客のビジネス課題を解決するための提案を行い、必要に応じてエンジニアと協力してシステムを作り上げることです。そこにはコミュニケーション力や課題解決力など、文系でも存分に発揮できるスキルが求められます。本書の事例を通して「こういう風にIT企業で働くのか」とイメージを広げることが可能です。
  • 富士通の選考に活かす
    富士通を志望する場合、営業職でもシステムに関する基礎的な知見が必要になります。具体的な製品知識を問われることはあまりありませんが、「どのようにしてチームで顧客の課題解決に取り組むか」という質問には、本書にある“連携”の仕組みをもとに回答を組み立てると効果的でしょう。「富士通式の営業スタイル」に関心を持ち、自分なりに解釈したアイデアを語れると、選考時に強いアピールになります。

3.2 データ活用の基礎知識を吸収し、提案力を高める

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    本書では、営業データの活用事例が豊富に紹介されています。最初は難しく感じても、どのデータがどのように提案に結びつくかの具体例を何度も目にすることで「データ分析は文系でもやり方を知れば使いこなせる」という自信につながるはずです。就職活動では「数値を用いて提案する力」や「ロジカルシンキング力」をアピールする機会が多いため、本書の事例を参考にしながら「どんなデータをどう分析し、どのような提案を行うか」を自分なりに考えてみるとよいでしょう。
  • 富士通の選考に活かす
    富士通は大手企業であるがゆえ、採用面接では「論理的な思考力」や「デジタルリテラシー」が求められる傾向があります。本書を通じて、営業現場でのデータ活用シナリオを掴んでおけば、面接時に「具体的な顧客データを活かしたコンサルティング提案」に関する例示などがしやすくなります。たとえば「顧客の購買履歴を可視化し、その上でマーケティング施策と連動させるアイデア」など、富士通のビジネス領域に即した話題を提示することで、説得力がぐっと増すでしょう。

3.3 組織のカルチャー変革からリーダーシップ観を学ぶ

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    新卒や第二新卒としての就活の段階であっても、「組織で働くイメージ」や「リーダーシップのあり方」を早めに掴んでおくことは重要です。本書では、個人のマインドセットと組織全体のカルチャーがいかに影響を与え合うかを具体的に示しているため、自己PRや志望動機を考える際のヒントになるでしょう。たとえば「自分はこういうマインドセットで周囲を巻き込みたい」というビジョンを語るときに、本書の事例を引用して「営業とエンジニアが連携する際のカルチャーづくりが印象的だった」などと述べれば、説得力も増します。
  • 富士通の選考に活かす
    富士通の企業風土を理解する上で、本書にあるエピソードは最適な教材です。面接の中でも「富士通がこれまでどのように組織やカルチャー改革を進めてきたか、ご存じですか?」という質問が飛んでくる場合があります。本書を読んだうえで、「こういう取り組みをしている企業だからこそ、自分も変革の一翼を担いたい」といった動機づけを明確に話すことができれば、高い評価に繋がるでしょう。

3.4 営業スタイルの変化を知り、キャリアビジョンを明確化する

  • 文系・未経験からのIT就活に活かす
    文系・未経験でIT業界に入る場合、将来的にどんなキャリアパスがあるのか分からず不安に思う方も多いでしょう。本書を読むと、営業は単なるモノ売りではなく、顧客の課題解決パートナーとなりうる存在であると再認識できます。これからのIT企業の営業では、マーケティング、コンサルティング、プロジェクトマネジメントなど多様な役割を横断的に経験できるチャンスがあると分かるでしょう。「将来的に自分はどんなポジションで活躍したいのか」「営業を入り口として、どんなスキルを身につけたいのか」をイメージするうえで、本書は大いに役立ちます。
  • 富士通の選考に活かす
    富士通は幅広い事業領域を持っており、海外拠点も含めて様々なキャリアパスが存在します。面接で「入社後のキャリアプランをどう考えていますか?」と聞かれた時、単に「営業として頑張りたいです」というよりも、「デジタルシフトによる提案型営業を極めたい」「海外案件や新規事業にも積極的に携わりたい」というように、より具体的に描けるようになるとアピール度が増します。本書を通じて、新しい時代の営業スタイルをしっかりと理解し、自分なりのキャリアビジョンを固めておくことが有効です。

4. まとめ

『富士通式! 営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法』は、単にデジタル技術を導入した営業の在り方を解説するだけでなく、組織風土やマインドセットの変革がどれだけ重要であるかを強調する一冊です。文系・未経験であっても、「これからの営業職がITをどう使いこなすか」「どのようにエンジニアと協力して顧客の課題に応えるか」を学べる、貴重な知見がたっぷり詰まっています。

IT業界、とりわけ富士通のような大手総合電機メーカーやSIerは、今後も企業のDX化を担う立場として注目され続けるでしょう。本書で紹介される営業デジタルシフトの事例は、就職活動の際に「IT企業で働くイメージ」を掴み取り、さらに「データドリブンな提案の仕方」「部門間連携の重要性」などを具体的に理解する絶好のチャンスとなります。

特に文系出身で未経験の方は、「ITに詳しくないから」という理由だけで可能性を狭めてしまいがちです。しかし、営業のデジタルシフトにおいては、ヒアリング力やプレゼンテーション力、プロジェクトを円滑に進める調整力など、文系の得意分野が大いに活きる場面が多々あります。本書を参考にしながら、「自分はどんな形でIT企業に貢献できるか」「富士通のような企業でどんなキャリアを築きたいか」を考え、就職活動の材料とするのはいかがでしょうか。きっと、本書を読むことでIT企業やDXの最前線に向けて視野を広げられるはずです。

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