本記事は、文系・未経験からIT業界への就職を目指す方に向けて、NEC出身の著者によるプロジェクトマネジメントの指南書『結果を出すチームのリーダーがやっていること NECで学んだ高効率プロジェクトマネジメント』(五十嵐剛 著/すばる舎/2024年05月24日刊行)を取り上げ、その概要やおすすめポイント、さらに文系・未経験の就活生がどのように活かせるかを解説したものです。
1. 書籍の概要
1.1 タイトル
『結果を出すチームのリーダーがやっていること NECで学んだ高効率プロジェクトマネジメント』
1.2 著者・出版社
- 著者:五十嵐 剛(いがらし・つよし)
- 出版社:すばる舎
- 刊行予定日:2024年05月24日
本書は、長年NECで多くのプロジェクトを率いてきた著者が、チームを成功に導くための「高効率プロジェクトマネジメント」のエッセンスを紹介する一冊です。IT企業の代表格とも言えるNECで培われたノウハウをもとに、限られたリソース・時間・人員を最大限に活かす実践的な手法や心構えがまとめられています。
1.3 本書が取り扱う主な内容
- プロジェクトマネジメントの基本的な考え方
WBS(作業分解構成図)やガントチャートなどの定番ツールを使った進行管理の方法だけでなく、チーム内コミュニケーションの重要性やステークホルダーとの連携術など、プロジェクト運営に欠かせない基本を押さえています。 - NECの現場で培われた実践例
NECが手がけてきた大規模プロジェクトを例に、実際どのように問題や課題に対処し、どんな成果を挙げたのかが具体的に記されています。特に、IT業界ならではのプロジェクトで直面する課題への具体的な向き合い方は参考になるポイントが多いです。 - リーダーシップとチームマネジメント
著者が強調するのは「リーダー個人の手腕」ではなく、「チーム全体で成果を出す」ための方法論です。メンバーの成長を促しながら、いかに成果に結びつけるかというノウハウが具体的に書かれています。 - コミュニケーション手法とモチベーション管理
プロジェクトが長期化すると、モチベーション維持が難しくなることがあります。本書では、リーダーとしてどのようにメンバーと向き合い、チーム全体を鼓舞しながら進むかのポイントが丁寧に解説されています。
1.4 本書の特徴
- 実践的かつ具体的な事例が豊富
ビジネス書の多くは抽象的な概念紹介で終わりがちですが、本書はNECでの事例をベースにしているため、読後にすぐ現場で試せる具体策が並んでいます。 - “失敗談”から学べる
プロジェクトマネジメントは成功例だけでなく、失敗から学ぶことも大切。本書では、プロジェクトが失敗やトラブルに直面した際にどのようにリカバリーしたかも紹介されています。 - リーダーだけでなく、メンバーにも役立つ
タイトルには「チームのリーダー」とありますが、実際は「チームで働くすべての人」が知っておくべき情報が盛りだくさん。新人や若手社員の視点で読んでも、自分がチームに貢献できる行動のヒントを得やすいでしょう。 - 組織文化・風土への視点
NEC特有の組織文化や大企業のプロジェクトならではの特徴も説明されており、日系大手企業での働き方がイメージしやすい内容になっています。
2. おすすめポイント
2.1 プロジェクト進行の“型”がわかりやすい
本書が特に優れているのは、プロジェクト進行を効率化する「型」や「手順」が具体例とともにわかりやすく整理されている点です。例えば、タスクをどのように切り分けるか、スケジュールをどのように作成するかといったベーシックなPM(プロジェクトマネジメント)の知識に加えて、NEC流の管理ポイントが示されています。文系出身で「ITの専門スキルが少ない…」と不安を感じる方でも、まずは進行管理という視点でプロジェクト全体を俯瞰する方法を学べるのは大きな魅力です。
2.2 チームワークを高めるコミュニケーションの重要性
ITプロジェクトでは、エンジニアやデザイナーなど専門性の異なるメンバーが集まり、意見やアイデアを出し合いながら作業を進めることが多くあります。本書は、そうした多様なメンバー同士がスムーズに連携するために欠かせない「コミュニケーション戦略」について、数多くのヒントを提示してくれます。単なる「会議の進め方」だけでなく、モチベーション維持や情報共有の工夫など、知っておくと実践で差がつくノウハウが学べます。
2.3 大企業が抱える“あるある課題”への具体的な対処法
NECのような大企業のプロジェクトでは、多くのステークホルダーが関わり、承認フローが複雑になるなど、小さなベンチャーでは起こりにくい問題が発生しやすいです。本書では「意思決定に時間がかかる」「担当が頻繁に変わる」「リソース調整が難しい」といった、いわゆる大企業特有の“あるある課題”とどう付き合うかが具体的に解説されています。文系・未経験の就活生でも、大手企業を受ける上で「大企業にはこうした課題がある」という理解を深めることができるため、企業分析や面接対策にも役立つでしょう。
2.4 失敗からのリカバリー方法が学べる
プロジェクトは、必ずしも計画通りに進むわけではありません。むしろ、想定外のトラブルや変更要件が発生することが多々あります。本書は“成功ストーリー”だけでなく、「どう軌道修正したか」「メンバーのモチベーションをどのように再度高めたか」といった失敗からのリカバリーステップもかなり具体的に書かれています。就活においても、トラブル対応や問題解決のエピソードを求められるケースは少なくありません。そのヒントとしても大いに活用できる内容です。
3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方
3.1 プロジェクトマネジメントを“文系でもできる強み”に
文系の学生・求職者の中には、「IT企業でプログラミングスキルがないと通用しないのでは?」と不安を抱える人も多いでしょう。しかし、本書にあるようなプロジェクト進行管理や調整業務は、決してプログラミングだけが必要ではありません。むしろ、言葉の理解力・コミュニケーション能力・文章作成力など、文系的な強みを活かせる場面は多々あります。本書を通じて「プロジェクトマネジメントは、文系出身でも貢献できる」という確信を得られるはずです。
3.2 大企業の組織体制や文化への理解を深める
NECの事例が多く盛り込まれている本書を読むことで、大企業ならではの組織構造や文化・働き方に対する具体的なイメージがつかめます。とくに文系・未経験からIT業界を目指す方にとっては、業界研究や企業研究で得られる情報だけでは掴みきれないリアルな視点があるでしょう。面接や志望動機を書く際にも、本書で得た知識を盛り込み、「なぜ大企業のプロジェクトで働きたいか」「大企業ならではのやりがいや課題は何か」といった点を深くアピールできます。
3.3 コミュニケーションスキルを学んで面接にも活かす
就活でしばしば問われるのは「あなたがチームでどのように貢献できますか?」という質問です。本書を読めば、チーム内外でのコミュニケーションや調整役の大切さについて、より具体的な理解が得られます。たとえば、本書にある「情報共有のタイミングを逃さない」「オンライン・オフラインの使い分け」などのエッセンスを、自身の体験に当てはめて話すことで、説得力のあるエピソードを語れるようになるでしょう。
3.4 失敗から学ぶ姿勢を自己PRに
本書では失敗やトラブル時の対処法が数多く紹介されています。文系・未経験であっても、アルバイトやサークル活動などで何らかの“トラブルや失敗”を経験したことがあるはずです。その際、本書の学びを踏まえて振り返ることで、「自分なりにリカバリーに取り組んだプロセス」や「失敗の原因を分析し、次に活かす姿勢」を明確に言語化できるようになります。自己PRでアピールする際に役立つはずです。
4. NECの選考への活かし方
4.1 企業理念とプロジェクトマネジメントの関連を語る
NECは「社会ソリューション事業」を中心に、人々の生活や社会基盤の向上に資する事業を幅広く手がけています。本書を通じて得たプロジェクトマネジメントの知識とNECの企業理念を結びつけ、「自分の強みをどう活かしたいか」を具体的に説明できると、説得力のある志望動機につながります。
4.2 大規模プロジェクトでの連携の大切さを理解する
NECのような大手企業では、国内外の拠点やグループ会社が複数関わる大規模プロジェクトが多く存在します。本書に書かれた“多数のステークホルダーを調整する方法”や“承認フローをスムーズに進めるコツ”などは、そのままNECの選考での「求める人材像」を理解するうえでも大きなヒントとなります。面接で「大規模プロジェクトにおいて、どのようにリーダーシップを発揮できるか」を答える際、本書を踏まえて具体例を挙げると効果的です。
4.3 NEC流の企業文化を踏まえて自己PRする
NECは技術力だけでなく、チームワークや人を育てる文化も大切にする企業です。本書に登場するエピソードから、NECがどのように人材を活かし、チームを形成しているかが見えてきます。そこに共感した点や「自分ならさらにこうしたい」という提案を面接で示せば、ただ“企業研究してきました”というレベルではなく、“自社をよりよく理解し、主体的に動ける人材”としてアピールできるでしょう。
4.4 “失敗に寛容な姿勢”を理解しておく
本書では、プロジェクト上の失敗をどう活かすかが重視されています。一見ネガティブに思える失敗も、NECでは改善・イノベーションの種と捉えられることが多いようです。就職活動では、失敗談を聞かれても「どうリカバリーしたか」「その経験から何を得てどう行動したか」という点をしっかり伝えることが重要です。NECの選考においては、この“失敗を糧にする姿勢”を具体的に示せると好印象につながります。
5. まとめ
『結果を出すチームのリーダーがやっていること NECで学んだ高効率プロジェクトマネジメント』は、NECという大企業の現場で培われたプロジェクトマネジメントとリーダーシップのエッセンスを、具体的な実例を交えて学べる貴重な一冊です。文系・未経験からIT業界を目指す方にとっては、「IT=プログラミング」だけではない側面を知るうえでも非常に有益と言えます。
- プロジェクトマネジメントの基礎が身につく
- 大企業の組織やプロジェクトへの理解が深まる
- コミュニケーションやチームワークの重要性を再確認できる
- 失敗から学ぶ姿勢をキャリアに活かせる
といったメリットが得られ、NECをはじめとする大手IT企業の選考対策にも直結する内容になっています。単なる“ノウハウ本”に終わらず、現場でのエピソードを通して、プロジェクトやチームが成果を出すために必要な考え方を総合的に学べるのが本書の強みです。
就活生の皆さんにとっては、「面接やグループディスカッションの際に活かせる考え方」「大手企業でのキャリア形成を具体的にイメージする材料」が得られるはず。この機会にぜひ手にとってみてください。自分の将来を見据え、プロジェクトマネジメントの手法を深く理解することで、文系・未経験からでもIT業界への第一歩を自信を持って踏み出せるようになるでしょう。
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