本記事は、書籍『元NECソフト社長が語る システムエンジニアへ贈る言葉』(池原憲二著、玄武書房、2023年01月09日刊)を読んで得られる知見や就職活動への活かし方をまとめた書評記事です。
本書の内容紹介から、具体的なおすすめポイント、そして文系・未経験からのIT就活やNECの選考対策に役立つ視点を詳しく解説します。これからIT企業への就職を検討している皆さんが、少しでも安心して一歩を踏み出せるようなヒントとしてご活用いただければ幸いです。
1. 書籍の概要
1.1 タイトル
『元NECソフト社長が語る システムエンジニアへ贈る言葉』
1.2 著者・出版社
- 著者:池原憲二
元NECソフトの社長として企業を率い、多くのプロジェクトやエンジニア育成に関わってきた実務経験を豊富に持つ。経営者という立場からIT産業全体に目を向けながらも、システムエンジニア個人に寄り添った目線が特徴。 - 出版社:玄武書房
ビジネス書やIT関連の実務書を中心に出版していることで知られる。
1.3 本書が取り扱う主な内容
本書は、主にシステムエンジニア(SE)に求められるマインドセットや、成長のための具体的な行動指針が示されているのが特徴です。著者がNECソフト社長を務めていた際に実感した“エンジニアに足りない視点”や“さらに伸ばすべき才能”を、経営者の視座からまとめています。具体的には、
- SEとしてのキャリア形成方法
- プロジェクトマネジメントのリアルと難しさ
- 技術力だけでなくビジネス視点を持つ重要性
- コミュニケーション能力・チームワークの大切さ
- 今後のIT業界で求められる新しい役割・期待
これらが分かりやすく、具体的なエピソードとともに語られています。
1.4 本書の特徴
- 豊富な実例:NECソフトでの社長経験はもちろん、現場で繰り返し起きるトラブルやチャンスをどのように捉えるべきか、実際のエピソードとともに語られているため、非常に臨場感があります。
- 経営視点と現場視点の融合:経営者として企業全体を俯瞰してきた視点と、エンジニア個人へ寄り添う視点がバランスよく混在しているので、単なる“経営論”にも、“個別の技術解説”にも偏らない内容になっています。
- システムエンジニアへのエール:タイトル通り、SEとしての生き方や心構えを前向きに後押しするメッセージが多く、読んだ後に“自分も頑張ろう”と感じさせてくれる点が魅力です。
- 幅広い読者層に対応:現役エンジニアやプロジェクトリーダーはもちろん、これからIT業界を目指す方や文系出身の学生にも読みやすいように、専門用語が必要以上に難しくない点もポイントです。
2. おすすめポイント
2.1 経営者だからこそ語れる“伸びるエンジニア”像
経営者の視点から、どのような人材が企業にとって“伸びしろが大きい”と評価されるのかが明確に示されています。技術力や専門知識だけでなく、コミュニケーション力・柔軟な思考・チームに貢献できる姿勢など、文系や未経験者にも実践しやすい要素が含まれているのが魅力です。
2.2 プロジェクトマネジメントのリアルなノウハウ
大企業のシステム開発では、プロジェクトマネジメントが成功を左右するといわれています。本書では、スケジュール管理の難しさや、プロジェクト内での人間関係の摩擦など、表面化しにくい課題に対して、具体的な解決策が提案されています。組織内外での交渉やコミュニケーションテクニックも紹介されているため、将来リーダーを目指す方にも大いに役立つ内容です。
2.3 技術力だけでなく“ビジネス視点”を育む重要性
著者は、エンジニアが「自分の技術だけに没頭する」のではなく、「顧客視点や社会的意義を見据えること」の必要性を強調しています。IT業界のトレンドは日々変化しており、新しい技術を習得するだけでは差別化が難しくなっています。その中で、どれだけビジネスの観点を持ちながら製品やサービスを考えられるかが、自身の市場価値を高める鍵となると述べられています。
2.4 “人が育つ”環境づくりへの洞察
元社長として、著者は“人材育成”に深く携わってきました。本書には、人を育てる側(リーダーやマネージャー)だけでなく、育てられる側(新人や若手エンジニア)がどのように環境を活かして成長すべきかという視点も豊富に盛り込まれています。文系・未経験からIT業界に飛び込む方にとっては、自分から学びにいく姿勢の大切さや、周囲からのサポートをどのように得るかなど、具体的なヒントが得られるでしょう。
3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方
3.1 SEの仕事観を明確にする
文系出身や未経験の方にとっては、エンジニアの業務内容や役割が漠然としているかもしれません。本書では、システムエンジニアの役割が「単にプログラムを書く人」以上のものだと繰り返し説かれています。チームで目標を達成するための調整役や顧客の課題を解決するための提案者としてのSE像を理解することで、自身のキャリアビジョンも一層クリアになるはずです。
3.2 コミュニケーションスキルを強みにする
「文系はコミュニケーションが得意」というイメージを持つ企業もありますが、それをエンジニアとしてどう活かすかは個人の行動次第です。本書が強調するように、SEには技術力だけでなく、他部署や顧客との調整能力が欠かせません。面接では、自分のコミュニケーションスキルをアピールする際に、「単に話すのが得意」だけでなく、「チームを巻き込み、目標達成に貢献する力」を具体的なエピソードとともに伝えると効果的でしょう。
3.3 未経験でも“学習意欲”を示す
IT業界では、新しい技術や知識を習得し続ける姿勢が必須となります。本書のエピソードからも、失敗を恐れず挑戦する姿勢や、自分なりに学びを深める方法がいくつか紹介されています。文系・未経験という立場をネガティブに捉えるのではなく、柔軟な発想や好奇心でカバーできることを示すために、学習の成果をポートフォリオや自己PRにまとめるのがおすすめです。
3.4 “ビジネス視点”で志望動機を作る
IT業界を志望する際には、単に「プログラミングをしてみたい」というだけではなく、その技術が世の中にどのような価値を提供するのかを言葉にすることが重要です。本書で繰り返し語られる“ビジネス視点”を意識し、志望動機でも「企業の強みを活かして、どのように顧客課題を解決したいか」などを盛り込むと、文系・未経験でも自社の事業内容にしっかり向き合っていると好印象を与えられます。
4. NECの選考への活かし方
著者の出身企業であるNECソフト(現:NECソリューションイノベータ)は、NECグループの一員として幅広いシステム開発・ソリューション提供を手がけています。NECの選考を受ける場合、本書の内容を下記のように活かすと良いでしょう。
4.1 社会課題への貢献意識を示す
NECは「社会ソリューション事業」を強みとし、AIやIoTを活用した様々な課題解決に注力しています。本書から得られる“顧客や社会の課題を把握し、それに寄り添う姿勢”というポイントを踏まえ、「自分も社会の課題をどう捉え、どんな貢献ができるか」をアピールしましょう。面接時には、具体的な社会問題や課題解決事例に触れながら、自分の学びや関心をつなげると説得力が増します。
4.2 “チームワーク”を強みとしてアピール
NECグループでは大規模なプロジェクトを複数人で進めるケースが多くあります。本書が繰り返し強調している「チームで協力する大切さ」を選考でも意識しましょう。文系・未経験の場合でも、大学でのグループワークやアルバイトの経験など、協働しながら課題解決に取り組んだ具体的なエピソードを使って、チームワークを重視する企業文化にフィットする人材だと示すのがおすすめです。
4.3 プロジェクトマネジメントの意識を理解していることを示す
NECのような大手企業では、新人のうちからプロジェクトに参加し、多様な関係者とやりとりすることが求められます。本書で取り上げられている、プロジェクトの進め方やリーダーシップなどの要素を吸収し、面接やES(エントリーシート)では「プロジェクトを円滑に進めるために必要な要素を学んできた」ことや「課題が発生した際の対処法」に対する考え方をアピールするとよいでしょう。
4.4 長期的視点でキャリアを描いていることを伝える
元社長の視点から語られる「エンジニアとしてのキャリア形成」へのアドバイスは、NECの選考でも大いに活用できます。入社後、どのように学び、どんなエンジニアになっていきたいかを具体的にイメージしておくと、面接官からの「将来のキャリア展望」に関する質問にも説得力を持って答えられます。企業側から見ると「長く働いてくれそうだ」という印象を与えやすいのもメリットです。
5. まとめ
元NECソフト社長の池原憲二氏による『元NECソフト社長が語る システムエンジニアへ贈る言葉』は、システムエンジニアの役割やキャリア形成について経営者視点から丁寧に解説している実践的な一冊です。特に、文系・未経験でIT業界への就職を考える方にとって、必要とされるマインドセットやスキルを理解するうえでの教科書となり得る内容が満載といえます。
- 経営者の視点を知ることで“伸びるエンジニア”とは何かを学べる
- プロジェクトマネジメントやチームワークの重要性をリアルに感じられる
- ビジネス視点の習得が市場価値向上につながると再認識できる
- NECの選考対策としても、企業の目指す方向性やプロジェクト環境への理解を深める手掛かりになる
文系・未経験だからこそ、コミュニケーション能力や好奇心を活かして新しい知識を柔軟に吸収し、社会課題を解決する意欲を示すことができます。本書で学んだ知見を軸に、IT業界において自分は何をしたいのか、どう役立ちたいのかを明確に打ち出しながら、就職活動を進めてみてください。技術知識の補強やポートフォリオの準備はもちろん、何よりも「自分がどんなエンジニアになりたいのか」を考えるきっかけを得られるはずです。
就職活動を通して見えてくる自分の強みや弱みをしっかりと受け止め、本書が説く“システムエンジニアとして成長するための姿勢”を実践できれば、文系・未経験であってもIT業界でのキャリアを大きく花開かせることが十分に可能です。何より、これからのIT業界では、多様な背景を持つ人材が求められています。ぜひ本書を手に取り、あなた自身がどのようにITを通して社会に貢献できるのか、その第一歩を探してみてください。
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