【書評】フォーサイト起点の社会イノベーション

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本記事では、文系・未経験からIT業界への就活を考えている方々に向けて、2024年4月19日に出版された『フォーサイト起点の社会イノベーション』(NTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ 著、日経BP/日本経済新聞出版)を取り上げ、その概要やおすすめポイント、さらには文系・未経験からのIT就活・NTTデータの選考対策にどのように活かせるかを解説します。

IT業界が求める視点、考え方、そして社会課題への向き合い方など、本書を通じて学べる要素は多岐にわたります。本書を活用して、少しでも就活を有利に進めるヒントをつかんでみてください。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

  • 『フォーサイト起点の社会イノベーション』

1.2 著者・出版社

  • 著者:NTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ
  • 出版社:日経BP/日本経済新聞出版
  • 発売日:2024年4月19日

NTTデータが誇るコンサルティング部門のメンバーによって執筆された本書は、社会を変革していくうえで必要な「未来予測(フォーサイト)を起点としたイノベーション」の重要性を解説する一冊です。企業や行政はもちろん、個人のキャリアにも応用できるフレームワークや考え方がまとめられています。

1.3 本書が取り扱う主な内容

  1. フォーサイト(未来予測)を活用した課題設定の方法
    本書では、社会課題やビジネス上の課題を解決するために「未来予測」という考え方を活用する重要性が説明されています。単なる予測やトレンド分析だけでなく、そこからどのように具体的なアクションを導くかについても詳しく扱われています。
  2. 社会イノベーションにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の位置づけ
    IT企業やコンサルティング企業がこぞって注力しているDX。その基盤となるIT技術と社会的価値の結びつきを、事例を交えながら整理しています。文系の方でも理解しやすいよう、技術やデータの活用方法を噛み砕いて説明しているのが特徴です。
  3. 官民連携やオープンイノベーションの実践事例
    社会全体を巻き込むイノベーションを起こすには、企業だけでなく、行政・NPO・スタートアップなど多様なステークホルダーとの協働が欠かせません。本書では国内外の事例を豊富に紹介し、実際にどのように協力体制を築いたかが解説されています。
  4. 未来起点のキャリア形成・組織マネジメント
    個人がどのように未来を見据えてキャリアを築いていくか、また組織として社員の学習や成長を支援し、イノベーションを推進していくかといったヒントも提供されています。就活を意識する読者にとって、企業が求めているマインドセットや能力を知る手がかりにもなります。

1.4 本書の特徴

  • 実践志向のフレームワークが提示されている
    「未来を見通すこと」の難しさや、先行き不透明な状況下でもイノベーションを起こすための思考プロセスが具体的なステップで紹介されています。
  • 多面的な事例が豊富
    NTTデータのプロジェクト事例に加え、他業界や行政との協働事例など、多角的な視点から解説しています。文系の方でも身近に感じられる事例が多く、ITやデータ分析に馴染みがない方でも読みやすい構成です。
  • 社会課題にフォーカスしつつ、ビジネス的な価値も融合
    社会をより良くするためのアプローチと、ビジネスとしての収益性・持続可能性を両立させるためのポイントが示されている点は、就活生にも大いに参考になります。
  • 企業コンサルの視点を学べる
    「コンサルティングとは何か?」といった基礎的な話から、実際のプロジェクトで使われるフレームワークやコミュニケーション手法まで、プロの視点が丁寧に解説されています。コンサルやSIerへの就職を考える方にも必読と言える内容です。

2. おすすめポイント

ここでは、本書を読む上で特に注目していただきたい4つのポイントを紹介します。

2.1 フォーサイト思考が具体的にわかる

「未来予測」と聞くと難しそうなイメージを抱くかもしれません。しかし本書では、未来のシナリオを描くプロセス、リスクを可視化する方法、そしてそこから実際の事業や社会変革に結びつける方法を具体的なワークシートや図解を使って紹介しています。文系出身の方でも、理論だけでなく手順として理解しやすい構成が魅力です。

2.2 DXを社会的価値創造の観点から理解できる

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単にITを導入するだけではなく、社会課題の解決や新たな価値創出が重要です。本書では、DXがもたらす社会的価値を基点に、企業がどう変わるべきかを説いています。ビジネススキームの変革から人材育成まで幅広い視点が得られるので、就活の際、IT企業への志望動機を明確化したり、面接でのアピールに活かしたりできます。

2.3 多様なステークホルダーとの協働事例が豊富

社会イノベーションには、官民連携をはじめとする多様なアクターとの協力が欠かせません。本書では、実際にNTTデータが携わった事例などが詳しく紹介されており、どのように利害関係の異なる組織や人々を巻き込んでいくのかが具体的に示されています。コンサルタントやITエンジニアに限らず、これからのビジネスパーソンに必須のチーム・マネジメント力を学ぶうえでも参考になります。

2.4 社会課題×ビジネスという視点を養える

「社会貢献」と「ビジネス」は時に相反するものと捉えられがちですが、本書はそれらを統合し、持続的なイノベーションを生み出す重要性を強調しています。文系・未経験の方でも、これからのIT業界が単なる技術提供に留まらず、社会課題解決にどう向き合っているのかを理解する手助けとなるでしょう。志望動機を深める上でも欠かせない視点といえます。

3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

本書で得られる知識は、文系・未経験の方がIT業界にチャレンジする際に強力な武器となります。ここでは、具体的にどのように活かせるか4つの観点で紹介します。

3.1 未来の社会課題を意識した志望動機づくり

多くのIT企業が掲げるミッションは「社会課題の解決」や「イノベーションの創出」です。本書で紹介されるフォーサイト思考や社会イノベーションの事例を踏まえ、「自分がどのような社会課題を解決したいのか」「ITを使ってどう貢献したいか」を整理することで、説得力のある志望動機を作れます。

3.2 IT企業が求めるマインドセットの理解

文系の方がIT就活でしばしば苦労するのは、エンジニア的なスキルだけでなく「どのように考えて行動するか」を伝えづらい点です。本書にある「未来を見据えた問題解決型思考」は、多くのIT企業が評価するマインドセットと合致します。書中のフレームワークや事例を自分の言葉で咀嚼し、面接やグループディスカッションなどで活用しましょう。

3.3 様々な業界への視野が広がる

ITといっても、金融や製造、小売、行政など多様な業界で活躍することになります。本書にある官民連携や多様なステークホルダーとの協働事例は、「ITはどの業界でも価値を生み出せる」ことを示しています。文系出身であればこそ、多角的なビジネスへの興味や適応力を示すことができれば、就職活動において強みとしてアピールできるでしょう。

3.4 デジタルリテラシー不足を補うヒント

未経験者がIT企業に挑むうえで不安に思いがちなのが、デジタルリテラシーの不足です。本書は高度なテクノロジーの詳細よりも、社会課題の解決に必要な「思考法」を重視しているため、文系の方でも理解しやすい内容となっています。ここで培った視点や用語理解を出発点に、足りないスキルを補うロードマップを自分で描くことができるようになるはずです。

4. NTTデータの選考への活かし方

NTTデータは日本を代表する大手SIer(システムインテグレーター)であり、グローバルに事業を展開しています。本書はNTTデータ・コンサルティング・イニシアティブの知見が詰まっているため、選考にも直接役立つポイントが多数あります。ここでは、NTTデータの選考を意識した活用方法を4つにまとめました。

4.1 企業理解を深める

NTTデータはITソリューション提供だけでなく、社会課題解決を目的としたコンサルティング業務にも注力しています。本書の内容を参照することで、NTTデータがどのように社会課題と向き合い、それをビジネスチャンスと結びつけているかが理解できます。面接やエントリーシートで「なぜNTTデータか?」と問われたときに、単なる大手企業への憧れではなく、具体的なサービスやプロジェクトへの共感を語れるでしょう。

4.2 面接での自己PRや志望動機に厚みを持たせる

NTTデータの面接では、「社会にどのような価値を提供したいか」「大規模プロジェクトを通じてどのように成長したいか」といった質問が想定されます。本書を読んで得た社会イノベーションの視点やフォーサイト思考を盛り込みながら、「自分ならではの貢献の仕方」や「キャリアビジョン」を伝えると、具体性と説得力が増します。

4.3 グループディスカッションでの発想力強化

NTTデータを含むコンサル・SIerの選考では、グループディスカッション(GD)で社会課題解決や新規事業アイデアを出すケースがあります。本書で学べるフォーサイト思考や多様な利害関係者の調整例を踏まえれば、GDで他の参加者とは異なる切り口や視点を提示できます。また、論理的かつ未来志向のアイデアを出すことで、面接官に好印象を与えることが期待できます。

4.4 入社後のキャリアビジョンを明確化する

NTTデータは多岐にわたる事業領域を持ち、キャリアの幅が非常に広い企業です。本書を読むことで、「自分は将来的にどのような社会課題に取り組みたいのか」「DXやイノベーション創出のどの部分に興味があるのか」といった中長期的なキャリアビジョンを描きやすくなります。入社後のロールモデルや希望部署を考える上でも、参考となるヒントを得られるでしょう。

5. まとめ

『フォーサイト起点の社会イノベーション』は、IT業界への就職を目指す文系・未経験の方にとって、多くの学びを得られる一冊です。未来を見通す力(フォーサイト)と社会課題解決を掛け合わせる思考法は、まさに現在のIT業界が強く求める能力とも言えます。本書で得られる視点や知識は、エントリーシートの作成から面接、グループディスカッションなど、就職活動のあらゆる場面で役立つでしょう。

特に、NTTデータのような大手SIerやコンサルティング企業では、社会イノベーションやDXに対する関心が高く、本書を熟読しておけば選考時にアピールできるポイントが多々生まれます。文系で未経験だからといって、IT企業への就職を諦める必要はありません。社会やビジネスの変化を捉える柔軟な発想力と、未来志向のイノベーションを実践するための基本的なフレームワークを身につけることで、かえって新しい価値を提供できる人材として認められる可能性があります。

就職活動を通じて「自分は何をしたいのか」「社会や企業にどう貢献できるのか」を深く考えることで、より実りあるキャリアを築けるはずです。本書をガイドに、IT業界の最前線がどのように社会課題と向き合い、未来を切り拓いているのかを学び、就活を成功へと導いてください。皆さんが自分らしいキャリアビジョンを描き、ITの力を使って社会に新しい価値を創出していくきっかけになることを願っています。

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