【書評】キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和07年

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本記事では、文系・未経験でIT業界への就職を検討している方に向けて、きたみりゅうじ著『キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和07年』(技術評論社、2024年12月02日刊行)をご紹介します。本書は、IT初心者にもわかりやすいイラストと解説で定評のある「キタミ式イラストIT塾」シリーズの最新刊です。IT業界への入り口として活用されることの多い国家資格「ITパスポート」の取得を目指す方にとって、大きな手助けになる一冊となっています。

ITパスポート試験は、情報処理技術者試験の中でも最もベーシックな位置づけにあり、IT業界に携わるうえで必要な基礎知識を幅広く学ぶことができます。「ITパスポート=ITに関する最低限の共通言語の証明」というイメージを持っていただくとわかりやすいかと思います。「文系だからITの勉強は難しそう……」と不安になる方もいるかもしれませんが、本書はイラストと平易な文章によって、専門用語が初めての方でも読み進めやすいようになっています。今回は、そんな本書の概要から、文系・未経験者がIT就活で活かす方法などを解説していきます。

1. 書籍の概要

1.1 タイトル

  • 書名:キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和07年

1.2 著者・出版社

  • 著者:きたみりゅうじ
  • 出版社:技術評論社
  • 発売日:2024年12月02日

「きたみりゅうじ」氏は、長年にわたってIT技術や資格試験の参考書を執筆しており、イラストや図表を駆使したわかりやすい解説書で人気の著者です。特に、ITの初心者や文系出身者にとって難解に感じがちな専門用語を、身近な例えやイラストで視覚的に理解させる手法は定評があります。

1.3 本書が取り扱う主な内容

本書はITパスポート試験の出題範囲を体系立てて解説しており、主に以下の内容をカバーしています。

  1. ストラテジ系
    • 経営戦略やマーケティング、ビジネス関連の知識
    • 企業活動におけるITの役割や法律・制度・関連規格
  2. マネジメント系
    • システム開発やプロジェクトマネジメントの基礎
    • ITサービスマネジメント(運用・保守など)
  3. テクノロジ系
    • ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・セキュリティの基礎
    • データベースやアルゴリズムの入門知識

文系出身の方は「ビジネスにおけるIT活用」や「情報セキュリティ」など、日常感覚からは少し遠い用語が多く出てくる点で尻込みしてしまうかもしれません。しかし、本書は豊富な図解・イラストで「どんな場面で、どんなIT技術が使われるのか」を具体的に示してくれるため、いわゆる“IT用語集”を丸暗記するような勉強ではなく、ストーリーを追って理解できる作りになっています。

1.4 本書の特徴

  • イラストを多用した解説
    情報処理技術者試験のテキストには文章が主体で難解なイメージを抱く方が多いですが、本書はイラストを交えて解説するため、文章だけだと理解しづらいネットワーク構成やデータの流れなどもイメージしやすくなっています。
  • やさしい言葉での平易な説明
    「キタミ式」シリーズ全般に言えることですが、専門用語に対して日常用語を用いてわかりやすく説明してくれます。例えば、セキュリティ関連で「ファイアウォール」と聞いてもピンとこない人でも、「家の玄関ドアで不要な人物をシャットアウトするようなもの」という具体的なたとえを交えて説明してくれます。
  • 最新試験傾向への対応
    ITパスポート試験の出題範囲は時代に合わせて微調整されます。本書は令和07年版として最新の試験傾向に合わせた改訂が行われており、最新のITトレンドや法律面での変更点にも対応しています。
  • 試験直前対策と演習問題
    解説パートだけでなく、試験直前に役立つ要点整理や演習問題も充実しています。実際に問題を解きながら理解を深めることで、ITパスポート試験対策としての完成度が高い一冊です。

2. おすすめポイント

ここからは、文系・未経験からITに興味を持ち始めた方に特に役立つ、本書のおすすめポイントを4つご紹介します。

2.1 イラストによる理解促進

本書最大の特徴とも言えるのが、イラストをふんだんに使った解説スタイルです。ITに関する教科書は文字情報が中心となるケースが多いですが、図解やイラストがあることで、抽象的な概念を頭の中でイメージしやすくなります。たとえばネットワークのトポロジーや、クラウドサービスの仕組み、暗号化の仕組みといった視覚化が難しいテーマも、キャラクターや身近なモチーフを用いたイラストによって「なるほど、そういう流れなんだ」と直感的に理解できるのが魅力です。

2.2 初学者を意識した優しい言葉選び

「文系だから数字や論理思考が苦手」「IT用語はカタカナが多くてとっつきにくい」という声は珍しくありません。そこで本書では、難解な用語が出てきても、そのまま羅列するのではなく、あえて生活になじみのある別の表現を使ってかみ砕いて説明してくれます。たとえば「CPUはパソコンの頭脳」といった、教科書のような文面では見落とされがちなたとえ話が豊富です。これによって、読者は未知の言葉を学ぶハードルを下げられ、よりスムーズに内容を吸収できます。

2.3 ビジネス視点とIT視点を両方カバー

ITパスポート試験の特徴として、技術的な知識だけでなく、ビジネスモデルやマーケティングなどのストラテジ系の知識が問われます。本書は、ビジネス的な観点を交えながら「なぜこのIT技術が必要となるのか」「この技術を使うことでビジネスにどんなメリットがあるのか」を説明してくれます。文系出身の方は、もともと経営学やコミュニケーションなどの“文系的素養”が得意な方も多いでしょう。その強みを活かして「ITはあくまでビジネスの課題解決ツール」と捉えながら読み進めると、いっそう理解が深まります。

2.4 最新のITトレンドや関連法規にも対応

ITパスポート試験の学習では、たとえばAIやIoT、クラウドといった比較的新しい技術や、個人情報保護法などの法制度が出題範囲に含まれます。IT業界は技術の進歩が速い分、書籍によっては「内容が古いまま」というケースもあり、試験や実務で使うには不十分になりがちです。本書は令和07年の試験対応版として、こういった新しいトレンドにも対応しているため、試験で問われる可能性が高い最新情報を押さえることができます。就活の現場でも「AI」「セキュリティ」などトレンドワードについて質問されることが多いので、その基礎をしっかり学べるのは大きなメリットです。

3. 文系・未経験からのIT就活への活かし方

IT業界への就職を検討している文系・未経験の方にとって、ITパスポートの学習は単なる試験対策にとどまりません。ここでは、本書で学んだ内容を就活にどのように活かせるかを4つの観点からご紹介します。

3.1 ITリテラシーの基礎として

ITパスポート試験で学ぶ範囲は広範かつ基礎的で、「ITの共通言語」とも言えます。ネットワークやセキュリティの概念が曖昧なままだと、面接などで質問された際に的確な回答が難しいでしょう。本書を通じて「知識ゼロ」の状態から一通りの基礎を押さえておくと、たとえば企業の採用担当者から「クラウドやセキュリティに対する理解」を問われても、イメージを持って答えられるようになります。文系・未経験だとしても、一度しっかり基礎を学ぶことで「知識なし」から「最低限の知識あり」へとステップアップでき、他の応募者と差をつけられる可能性があります。

3.2 資格取得でアピール材料に

ITパスポートは国家資格であるため、取得していると履歴書や職務経歴書に書ける“アピール材料”となります。IT企業の採用担当者は「基礎を理解しているか」を重要視することが多いです。プログラミングスキルの有無も評価されますが、まずはIT全般への土台となる理解を持っている人を求める企業が多いのも事実。たとえばインフラ系やセキュリティ関連の企業であれば、ITの基礎知識と考え方をきちんと身につけているかどうかが重視されるので、ITパスポートの合格証を提示できれば「最低限のリテラシーを証明している」という安心感を与えられます。

3.3 面接時の会話のネタにもなる

就活の面接では、「なぜIT業界を選んだのか」「具体的にどんな分野に興味があるのか」「今注目しているITトレンドは何か」などを尋ねられることがあります。本書を学習していれば、例えばクラウドコンピューティングやビッグデータ、AIなどのキーワードを一度は目にし、その概要を把握しているはずです。「普段は文系で専門的な勉強はしていませんが、ITパスポートの勉強を通じて、AIの活用が社会全体をどう変えうるかに興味を持ちました」という形で、学んだ知識を会話に盛り込めます。面接官に対して「自分は未経験だが積極的にITの勉強をしている」という姿勢を見せられるのは大きな強みです。

3.4 自己学習習慣の確立とスキル転用

ITパスポートの勉強を通じて身につくのはIT知識だけではありません。試験範囲が幅広いため、勉強を続けるうちに「自分なりに計画を立て、効率良く学習する習慣」が身につきます。社会人としてのスキルの一つに「自己学習力」が挙げられますが、特にIT業界は技術やトレンドの移り変わりが激しいため、常に新しい知識やスキルを身につけていく必要があります。本書を使って資格取得に挑戦する過程で「計画的に学ぶ習慣」を確立しておけば、就職後も新しい言語やフレームワークの学習、新しい技術のキャッチアップなどにスムーズに移行できるでしょう。

4. まとめ

文系・未経験からIT業界への就職を考えるとき、専門用語やスキル面のハードルに不安を感じる方は多いでしょう。しかし、ITパスポートの学習範囲を一通りマスターすることで、“ITのベースとなるリテラシー”を身につけることができます。なかでも、きたみりゅうじ氏の『キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和07年』は、イラストと平易な言葉を使った解説で、「ITはなんだかとっつきにくい……」という方にもおすすめしやすい一冊です。

  • イラストを活用したやさしい解説
  • 初学者に配慮した言葉選び
  • ビジネス視点とIT視点の両面に対応
  • 最新技術や法規にもキャッチアップ

これらの特徴によって、資格取得に必要な内容を網羅しつつ、実践で使える知識も幅広く得られます。ITパスポートはとくに文系・未経験者でも挑戦しやすい国家資格であり、合格すれば就職活動においても一定の評価を得られるでしょう。さらに、試験勉強を通じて身につけた知識や学習姿勢は、実際の業務や面接時の会話のネタとしても活かすことができます。

IT業界は今後も多方面で需要が高まると予想されていますが、そのぶん求められる知識やスキルも多岐にわたります。はじめの一歩を踏み出すうえで、本書を活用して基礎的なITリテラシーを固めておくと、「なにから勉強を始めていいかわからない」「専門用語ばかりで挫折しそう」という状態から卒業しやすくなるはずです。ぜひこの機会に『キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和07年』で学習をスタートし、文系・未経験の強みを活かしながらIT業界への就職を目指してみてください。

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