SIerは残業が多いって聞くけど本当?

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文系出身でIT業界を目指す皆さんにとって、SIer(システムインテグレーター)の「残業が多い」という評判は気になるポイントではないでしょうか。

「SIerはやめておけ」といったネガティブな意見を目にすることも少なくないかもしれません。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?

この記事では、文系未経験からSIerへの就職を検討している方に向けて、SIerの残業の実態、その背景、そして就活時に確認すべきポイントなどを詳しく解説します。

結論:SIerの残業は「部署・プロジェクト・時期による」が現実

結論から言うと、「SIerの残業は多い」というのは一面的な見方であり、必ずしも全てのSIer、全ての人に当てはまるわけではありません。

確かに、過去には長時間労働が常態化していたSIerも存在しましたが、近年は労働環境の改善が進み、一概に残業が多いとは言えなくなってきています。

ただし、以下の要素によって残業時間は大きく変動するのが現実です。

  • 所属する企業・部署: 大手SIerでも部署によって働き方は大きく異なります。官公庁案件が多い部署、金融系案件が多い部署、Web系開発が中心の部署など、扱うプロジェクトの種類によって繁忙期や働き方が変わります。また、企業規模によっても、組織体制や人員配置に差があるため、残業時間に影響が出ます。
  • 担当するプロジェクト: プロジェクトの規模、納期、 complexityによって残業時間は大きく左右されます。炎上プロジェクトにアサインされれば必然的に残業時間は増えますし、逆に比較的落ち着いたフェーズのプロジェクトであれば定時で帰れることもあります。
  • 個人の役割・スキル: プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーなど、担当する役割によって業務内容や責任範囲が異なるため、残業時間にも差が出ます。また、個人のスキルや経験によって、業務効率が異なり、結果的に残業時間に影響することもあります。
  • プロジェクトのフェーズ: システム開発には要件定義、設計、開発、テスト、運用保守といった様々なフェーズがあり、それぞれ繁忙期が異なります。特に、システムの本稼働前やリリース直後はトラブル対応などで残業が増えやすい傾向にあります。
  • 企業の文化・風土: 企業によっては、残業を美徳とするような古い体質が残っている場合もあります。一方で、ワークライフバランスを重視し、残業削減に取り組む企業も増えています。

なぜ「SIerは残業が多い」と言われるのか?その背景

過去にSIerで長時間労働が常態化していた背景には、以下のような要因が考えられます。

  • 多重下請け構造: 元請け、一次請け、二次請け…といった多重下請け構造の中で、下流工程を担当する企業ほど納期や予算の制約が厳しく、結果的に長時間労働になりやすい傾向がありました。
  • 顧客からの要求変更: システム開発の現場では、プロジェクトの途中で顧客からの要求が頻繁に変更されることがあります。これによって、当初の計画が大幅にずれ込み、納期に間に合わせるために残業が必要となるケースがありました。
  • 属人的な仕事の進め方: 特定の担当者しか業務内容を把握していない、ドキュメントが整備されていないなど、属人的な仕事の進め方が残っている場合、担当者が不在になると業務が滞り、結果的に残されたメンバーに負担がかかり、残業につながることがありました。
  • IT人材不足: IT業界全体で人材不足が深刻化している中、特にSIerでは、抱えるプロジェクトに対して人員が不足している場合があり、一人当たりの業務量が増え、残業につながることがありました。

近年のSIerにおける残業時間削減の取り組み

近年、社会全体で働き方改革が推進される中で、SIer業界でも残業時間削減に向けた様々な取り組みが行われています。

  • 労働時間管理の徹底: 勤怠管理システムの導入や、残業時間の上限設定など、労働時間の管理を徹底する企業が増えています。
  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入: 定型的な業務を自動化することで、従業員の負担を軽減し、残業時間の削減につなげています。
  • アジャイル開発の導入: 従来のウォーターフォール型開発に比べて、柔軟な対応が可能となり、手戻りを減らすことで、結果的に残業時間の削減につながる場合があります。
  • フレックスタイム制度やリモートワークの導入: 柔軟な働き方を導入することで、従業員が自身のライフスタイルに合わせて働くことができ、生産性向上やワークライフバランスの改善に貢献しています。
  • 人材育成と多能工化: 特定の人に業務が集中するのを防ぐため、人材育成や多能工化を進め、チーム全体で業務を分担できる体制を構築する企業が増えています。

これらの取り組みによって、以前に比べて残業時間が大幅に減少しているSIerも多く存在します。

就活時に確認すべきポイント

SIerへの就職を検討する際、残業時間について不安を感じる場合は、以下の点を意識して企業研究や面接に臨むと良いでしょう。

  • OB/OG訪問でリアルな声を聞く: 実際に働いている社員から、部署ごとの残業時間や働き方について具体的な話を聞くのが最も有効です。
  • 企業の口コミサイトを確認する: OpenWorkやライトハウスなどの口コミサイトで、社員の生の声を確認しましょう。ただし、あくまで個人の感想であり、全てを鵜呑みにしないように注意が必要です。
  • 面接で直接質問する: 面接官に、配属予定の部署の平均残業時間や、繁忙期、残業削減に向けた取り組みなどについて質問してみましょう。企業の姿勢や具体的な対策を知ることができます。
  • インターンシップに参加する: 実際に現場で働くことで、職場の雰囲気や業務内容、働き方を肌で感じることができます。
  • 企業の採用ページや説明会資料を確認する: 企業によっては、ワークライフバランスに関する取り組みや、社員の平均残業時間などを公開している場合があります。
  • 複数の企業を比較検討する: 一つの企業の情報だけでなく、複数の企業の情報を集め、比較検討することで、より客観的な判断ができます。

文系未経験だからこそ、働き方を重視する視点も重要

文系未経験でIT業界に飛び込む場合、最初は覚えることが多く、キャッチアップに時間がかかるかもしれません。だからこそ、無理なく働ける環境を選ぶことは、長期的なキャリア形成において非常に重要です。

残業時間だけでなく、研修制度の充実度、メンター制度の有無、キャリアパスの多様性など、総合的に判断して、自分に合った企業を選びましょう。

まとめ:情報収集と主体的な行動で、納得のいく選択を

SIerの残業は、一概に「多い」とは言えません。しかし、所属する企業や部署、担当するプロジェクトによって大きく変動するのも事実です。

就活においては、企業の情報を鵜呑みにするのではなく、OB/OG訪問や面接などを通じて、主体的に情報を収集し、多角的な視点から企業を評価することが大切です。

文系未経験というバックグラウンドを活かし、コミュニケーション能力や問題解決能力をアピールしつつ、自分に合った働き方ができる企業を見つけて、IT業界でのキャリアをスタートさせましょう。

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