文系出身、IT業界への就職を検討している皆さん、IR資料というものをご存知でしょうか?
これは上場企業が公開する、会社の成長戦略や方向性を示す非常に価値ある資料です。
今回は、このIR資料を如何にして就活に役立てるか、ポイントを分かりやすく解説します。
IR資料の重要性
未来のあなたが活躍する場となる会社の方向性は、入社の決定において重要なファクターです。
就職活動においてはその会社の進むべき道と、あなたのキャリアの軸が合致しているか確認することは必須です。
特にSIerにおいては、新卒採用は重要な人材投資です。企業はその採用・育成方針をIR情報に明記しています。
有効に活用すべきIR情報のポイント
IR資料は情報量が豊富ですが、特に重要と感じるポイントを以下に列挙します。
・中期経営計画
これは企業の中長期的な事業戦略や人材育成の方針が記されています。志望動機の構築や面接時のトピックとして利用できます。
確認方法: 企業の公式ウェブサイトのIRページをチェック、あるいは「企業名 中期経営計画」で検索をかけると、スライドやPDF形式で確認できます。
・有価証券報告書
年1回公開されるこの報告書は、企業の健全性や事業概要が記載されています。
有価証券報告書は以下のような章立てとなっており、特に就活において注目すべきは「事業の内容」「従業員の状況」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」「研究開発活動」のセクションです。
第一部 【企業情報】 第1 【企業の概況】 1 【主要な経営指標等の推移】 2 【沿革】 ★ 3 【事業の内容】 4 【関係会社の状況】 ★ 5 【従業員の状況】 第2 【事業の状況】 ★ 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ★ 2 【事業等のリスク】 3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 4 【経営上の重要な契約等】 ★ 5 【研究開発活動】 第3 【設備の状況】 第4 【提出会社の状況】 第5 【経理の状況】 第6 【提出会社の株式事務の概要】 第7 【提出会社の参考情報】
事業内容
企業のコアとなる事業領域やキーワードを把握。これらの情報を活かして、面接やエントリーシートの際に、企業が重視しているポイントに触れることができます。
また、お客様との関係性やグループ会社とどういった役割分担を行っているかも記載されています。
従業員の状況
勤続年数や平均年収など、働く環境や社員の満足度を示すデータが記載されています。これにより、企業の働きやすさや従業員のモチベーションを感じ取ることができます。
勤続年数や平均年収は気になるところだと思いますが、ここで正しい数値を確認することができます。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
このセクションでは、会社の経営方針や経営環境が明記されています。さらに、現状の経営上の課題や、それに対する対応方針が述べられています。
現在の市場状況や競合環境、そしてその中での企業の位置付けや認識されている課題をチェックすることで、企業が直面する問題や会社の将来性をどう認識しているのかを知ることができます。
事業等のリスク
企業が事業を遂行する上でのリスク要因が詳細に記載されています。特にSIerに関しては、各社がどのようなリスクを認識しているのかが重要となります。以下が具体的なポイントです:
- 事業のリスク: これには、市場の変動、技術の進化や変革、競合との関係、法規制の変更など、多岐にわたるリスクが含まれます。
- SIerのリスク認識: SIer業界に特有のリスクを理解することは、業界の動向や未来予測を探る上で非常に有用です。例えば、新技術の導入に関するリスクや、大規模プロジェクトの管理リスクなど、業界特有の問題点が明確に示されています。
これらのリスク情報を理解することで、企業の経営層の意識や方針、さらには企業文化や働き方を推察する材料として役立ちます。
研究開発活動
企業がどのような技術や研究に投資しているのかが分かります。これをもとに、自分が将来的に関わりたい技術領域とのマッチングを図ることができます。
どのような技術分野に力を入れているのかや、事業ごとの投資額の金額配分が載っている場合は、どの事業分野に力を入れようとしているかがわかります。
将来的にこのような技術分野に興味があり、御社は研究開発においてその分野に力を入れているため、御社を志望しています。みたいな形でも使えます。
有価証券報告書の確認方法
有価証券報告書も各社のホームページから確認できますが、色々な会社を比較して横断的に確認したい場合はIRバンクというサイトがおススメです。
以下、IRバンクで確認する方法を書いていきます。画像はスマホですが、PCでもほぼ同じです。
1.IRバンクサイトを開く
2.画面上の検索ボックスから気になる企業を検索

3.検索結果から企業を選択

4.薄グレーになっているメニューバーを選択

5.メニューから有報を選択

6.通期列の日付を選択

7.確認したい項目を選択

まとめ
IR情報を活用し、各社並べて比較すると似たような事業内容でもそれぞれ違うことがわかると思います。公開情報を活用して志望動機を練りこめば、よく会社研究をしていると思われますし、企業の方向性とマッチしていることをよりアピールできると思います。
ぜひ活用してみてくださいね!